高リスクの小児慢性疾患、総合的ケアで医療費減/JAMA

提供元:ケアネット

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公開日:2015/01/15

 

 慢性疾患を有する高リスクの小児に対し、患者・家族中心の医療(medical home)に基づき専門的治療を含めた総合的なケアの提供は、通常ケアの提供と比較して、重篤な疾患およびコストの低減に結び付くことが、米国・テキサス大学医療センターのRicardo A. Mosquera氏らによる無作為化試験の結果、示された。患者・家族中心の医療は成人または小児慢性疾患における有害転帰やコストの低減には結び付かないとされている。研究グループは、高リスクのとくに小児慢性疾患では、費用対効果が優れる可能性があるとして本検討を行った。JAMA誌2014年12月24・31日号掲載の報告より。

総合的ケア提供vs. 通常ケア提供を無作為化試験
 試験は、総合的ケアを提供することで、慢性疾患を有する小児における重篤な疾患(死亡、ICU入室または7日超の入院)の予防および/もしくはコストの低減をもたらすかを評価することが目的だった。

 総合的ケアの提供は、テキサス大学の高リスク小児クリニックで行われた。先行試験に基づき整備されたクリニックは、週40時間オープン、慢性疾患児に関する幅広い関心を持つ小児呼吸器科医と2人の看護師が配置されプライマリケアを提供。医師と看護師は電話を共有しており、患児の両親はいつでも直接電話で相談することができた。クリニックには、栄養士やソーシャルワーカーも配置され、また同一クリニックで迅速に有効な治療を行うため、定期的に専門医による治療も提供された。それらの専門家によるアドバイスも24時間電話で受けることができた。

 一方、通常ケアは、2週間に1回、専門医、ソーシャルワーカー、栄養士による治療やコンサルテーションを提供するもので、プライマリケアではなかった。

 試験は、慢性疾患(前年に緊急部門受診3回以上、入院2回以上または小児ICU入室1回以上、入院推定リスク50%以上)を有する小児を、総合的ケア提供群(105例)と通常ケア提供群(96例)に無作為に割り付けて検討した。被験者登録は2011年3月~2013年2月に行われ、アウトカム評価は2013年8月31日まで行われた。

 主要アウトカムは、重篤な疾患(死亡、ICU入室または7日超の入院)を有した小児、およびコストとした。副次アウトカムは各児の重篤疾患、医療サービス、メディケア支払、医学校収入およびコストであった。

重篤疾患の発生、コストのいずれも低減
 intent-to-treat解析の結果、総合的ケアは、重篤疾患を有する小児の割合、総病院およびクリニックコストの両方を低減した。前者は小児100人年当たり総合的ケア群10例vs.通常ケア群22例で、率比(RR)0.45(95%信頼区間[CI]:0.28~0.73)、後者は同じく1万6,523ドルvs. 2万6,781ドルで、RRは0.58(同:0.38~0.88)であった。ネット財政ベネフィット分析では、総合的ケアの中性費用(cost neutral)またはコスト抑制の割合は97%であった。

 総合的ケアは、重篤疾患を抑制し(小児100人年当たり16 vs. 44、RR:0.33、95%CI:0.17~0.66)、緊急部門受診(90 vs. 190、同0.48、0.34~0.67)、入院例(69 vs. 131、0.51、0.33~0.77)、小児ICU入室(9 vs. 26、0.35、0.18~0.70)、入院日数(276 vs. 635、0.36、0.19~0.67)を低減した。

 メディケア支払も、小児1人年当たり6,243ドル(95%CI:1,302~1万1,678ドル)減少した。医学校の持ち出し(コスト-収入)は、小児1人年当たり6,018ドルの増大だった。

(武藤まき:医療ライター)