米国・カリフォルニア大学サンフランシスコ校のJamie L Carter氏らは、がん検診の過剰診断を定量化・モニタリングする最適な方法についてシステマティックレビューにより検討した。その結果、複数設定に基づく実行性が良好な生態学的およびコホート試験が、最も適した手法であることを報告した。さらなる検討により国際標準指標を確立すること、および公平な多国籍の研究者チームによる分析の継続が必要であるとまとめている。これまで行われたがん検診の過剰診断に関する研究は、さまざまな手法が用いられ、非常にばらつきのある結果が示されている。それら相反する結果を解釈するために各方法論をどのように評価すればよいのか、またより良い試験方法について明らかになっていなかった。BMJ誌オンライン版2015年1月7日号掲載の報告より。
過剰診断について定量化した試験をシステマティックレビュー
レビューは、2014年2月28日時点でPubMed、Embaseを介して行われ、9種(前立腺、乳、肺、大腸、黒色腫、膀胱、腎臓、甲状腺、子宮)のがん検診の過剰診断について定量化したあらゆるデザインの試験を検討対象とした。
個々の試験を批評的に評価する明確な基準を用いて、各試験デザインのエビデンスの強さを評価し(二重盲検レビュー)、過剰診断の定量化とモニタリングの正確さについて各試験デザインを評価した。
各種試験の方法論の問題点が明らかに
検索により、52試験が包含基準を満たした。研究グループはそれらを4つの方法論の違いによるカテゴリーに分類し分析した。
1群は、デザインが良好な無作為化対照試験でフォローアップしたもので3試験が該当した。これらは、バイアスリスクが低いが標準化がなされておらず、モニタリングには適していなかった。
2群は、病理もしくは画像診断試験で8試験が該当した。過剰診断について、がんの生物学的特徴を調べることで結論を導き出している。デザインはシンプルだが、測定した特徴が疾患進行と高度に相関しているという仮定が不確かであり限定的であった。
3群は、モデル試験で21試験が該当した。短期間に行うことができるが、スクリーニングで検出したがん(基本的には未知なるもの)の経過をシミュレーションするのに複雑な方程式を必要とする。
4群は、生態学的およびコホート試験で20試験が該当した。継続的なモニタリングに適しているが、標準指標がないこと、データの質が可変的であること、フォローアップ期間が不十分、また集団レベルの交絡の可能性において限定的であった。しかしながら、生態学的およびコホート試験は、これらの潜在的な弱点に焦点を当てる合理的な手法を有していた。
以上の分析結果から著者は、「複数設定で実行した良好な生物学的およびコホート試験が、がん検診プログラムの過剰診断を定量化・モニタリングする方法として最も適していることが示された」とまとめている。