喘息は、閉塞性睡眠時無呼吸症候群(OSA)の新規発症リスク増大と関連していることが明らかにされた。米国・ウィリアム S. ミドルトン記念退役軍人病院のMihaela Teodorescu氏らが、ウィスコンシン州で行われている住民ベースの前向き疫学研究Wisconsin Sleep Cohort Studyの参加者を対象に、喘息とOSA発症との関係性を調べ報告した。OSAは喘息患者に多いことが知られている。しかしこれまで喘息とOSA発症との関連は検討されていなかったという。JAMA誌2015年1月13日号掲載の報告より。
住民ベースの前向き試験で検討
Wisconsin Sleep Cohort Studyは1988年にスタートし、無作為抽出で集められたウィスコンシン州の成人労働者が、4年ごとに終夜睡眠ポリグラフ検査と健康関連のアンケート調査を受けていた。
研究グループは2013年3月までのデータを集めて、ベースライン時の2回の睡眠ポリグラフ検査で非OSAであった被験者(無呼吸低呼吸指数[AHI] 5回/時未満、治療歴なし)を適格とし評価の対象とした。
該当者が自己申告した医師に診断された喘息の罹患と罹病期間を入手し、その後の4年ごとの検査時点で認められたOSA(AHI 5回/時以上または持続陽圧呼吸療法を受けている)、または日中の傾眠を伴うOSAとの関連を評価した。
喘息があると睡眠時無呼吸症候群の発症リスクは1.39倍
適格患者は547例(女性52%、ベースライン時平均年齢50[SD 8]歳)で、喘息を有していた被験者は81例、有していなかった被験者は466例であった。これら被験者が合計1,105件(喘息被験者167件、非喘息被験者938件)の4年ごとの追跡データを報告していた。
最初の4年時検査でOSA発症が認められたのは、喘息被験者群は22例(27%)、一方、非喘息被験者群は75例(16%)であった。
全追跡期間でのOSA発症の報告例は、喘息被験者群は45例(27%)、一方、非喘息被験者群は160例(17%)で、性別、年齢、ベースラインと追跡時変化のBMI、その他因子で補正後の喘息患者のOSA発症の相対リスク(RR)は1.39(95%信頼区間[CI]:1.06~1.82、p=0.03)であった。また、喘息は、傾眠を伴うOSAの新規発症とも関連していた。同発症報告は、喘息被験者群12例(7%)、非喘息被験者群21例(2%)で、RRは2.72(95%CI:1.26~5.89、p=0.045)だった。
喘息の罹病期間についても、OSA発症(喘息罹病期間が5年増大するごとのRR:1.07、95%CI:1.02~1.13、p=0.01)、傾眠を伴うOSA発症(同:1.18、1.07~1.31、p=0.02)との関連が認められた。
結果を踏まえて著者は、「この関連の基礎的メカニズムおよび喘息患者への定期的なOSA評価について調べる研究が求められる」と指摘している。