原因不明や男性側に軽度不妊があるカップルに対する体外受精2種の方法の有効性を、排卵誘発+子宮膣内精子注入法との比較で検討したが、健常児の出産率について非劣性であることが示された。多胎妊娠率についても、3群間で同等であったという。オランダ・アムステルダム大学のA J Bensdorp氏らが、カップル602組について行った無作為化比較試験の結果、報告した。BMJ誌オンライン版2015年1月9日号で発表した。
体外受精2種と排卵誘発+子宮膣内精子注入を比較
Bensdorp氏らは2009年1月~2012年2月にかけて、オランダ17ヵ所の医療機関を通じ、原因不明、または男性側に軽度不妊が認められる602組のカップルについて無作為化試験を行った。被験者の女性の年齢は18~38歳だった。
被験者を無作為に3群に分け、(1)体外受精による単一胚移植3サイクル(201組)、(2)修正自然周期による体外受精6サイクル(194組)、(3)排卵誘発と子宮膣内精子注入を6サイクル(207組)をそれぞれ行った。
主要評価項目は、12ヵ月以内の単胎妊娠による健常児の出産だった。副次アウトカムは、生存出産、臨床的妊娠、進行中の妊娠、多胎妊娠、妊娠までの期間、妊娠合併症、新生児罹患率と死亡率などだった。
単胎妊娠による健常児出産率、体外受精群はいずれも非劣性
結果、単胎妊娠により健常児を出産したのは、体外受精単一胚移植群で104件(52%)、修正自然周期体外受精群で83件(43%)、排卵誘発+子宮膣内精子注入群で97件(47%)だった。
排卵誘発+子宮膣内精子注入群との比較による相対リスクは、体外受精単一胚移植群が1.10(95%信頼区間[CI]:0.91~1.34)、修正自然周期体外受精群が0.91(同:0.73~1.14)で、非劣性の規定(95%CIの下限閾値0.69)を上回っており、体外受精2種の非劣性が示された。
また多胎妊娠率も、体外受精単一胚移植群が6%、修正自然周期体外受精群が5%、排卵誘発+子宮膣内精子注入群が7%と、3群で有意差はなかった(体外受精単一胚移植群vs. 排卵誘発+子宮膣内精子注入群p=0.52、修正自然周期体外受精群vs. 排卵誘発+子宮膣内精子注入群のp=0.33)。
(當麻あづさ:医療ジャーナリスト)