降圧薬治療ではコントロール不良な高血圧患者に対し、動静脈吻合術を行うことで、血圧および高血圧性合併症が有意に減少したことが報告された。診察室測定の収縮期血圧値は6ヵ月後に約27mmHg低下したという。英国・ロンドン大学クイーンメアリー校のMelvin D Lobo氏らによる、非盲検多施設前向きの無作為化比較試験ROX CONTROL HTNの結果、示された。結果を踏まえて著者は、「このアプローチは、コントロール不良の高血圧患者に有益な補助的療法となるかもしれない」とまとめている。Lancet誌オンライン版2015年1月22日号掲載の報告より。
動脈・静脈間にカプラー挿入
Lobo氏らは、本検討で血圧コントロール不良の患者における動静脈吻合術の降圧の有効性と安全性を評価した。2012年10月~2014年4月に、降圧薬治療を受けながらも、外来収縮期血圧が140mmHg以上で、日中の平均収縮期/拡張期血圧が135/85mmHg以上の患者を適格とし試験を行った。
被験者を無作為に2群に分け、一方には通常の薬物治療に加え、動脈と静脈の間に「カプラー」を埋め込み血流量を調節して血圧を下げる処置を行った。もう一方には薬物治療のみを行った。
主要評価項目は、6ヵ月後の外来受診時(診察室)および24時間自由行動下測定(ABPM)の収縮期血圧値のベースラインからの変化だった。
ABPM収縮期血圧値も平均13.5 mmHg低下
被験者総数は83例で、そのうちカプラー群は44例、対照群は39例だった。
6ヵ月後の診察室収縮期血圧値は、ベースライン時に比べ、カプラー群で平均26.9 mmHg(SD:23.9)有意に減少した(p<0.0001)。対照群では減少幅は平均3.7mmHg(同:21.2)で、有意な減少は認められなかった(p=0.31)。
また、ABPM収縮期血圧値もベースライン時に比べ6ヵ月後は、カプラー群で平均13.5mmHg(SD:18.8)の有意な減少が認められた(p<0.0001)。対照群は平均0.5mmHg(同:15.8)とベースライン時から有意な減少はみられなかった(p=0.86)。
一方、動静脈カプラー挿入を行った患者のうち12例で、遅発性同側性静脈狭窄の発症が認められた。しかし、静脈血管形成術またはステント挿入術により治療可能だった。
(當麻あづさ:医療ジャーナリスト)