多面的な介入、認知機能改善や維持に有効/Lancet

提供元:ケアネット

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公開日:2015/03/27

 

 認知症リスクが高い高齢者に対して、食事や運動などの生活習慣および血管リスクモニタリングといった多面的な介入を行うことで、認知機能の改善あるいは維持が可能であることが実証された。フィンランド国立健康福祉センターのTiia Ngandu氏らが、同国一般市民を対象とした二重盲検無作為化対照比較試験FINGERの結果、報告した。Lancet誌オンライン版2015年3月11日号掲載の報告より。

認知症リスクが高い一般高齢者を対象に概念実証無作為化試験
 FINGER(Finnish Geriatric Intervention Study to Prevent Cognitive Impairment and Disability)は、リスクの高い高齢者への多面的アプローチの認知機能低下予防について評価することを目的とした概念実証無作為化試験であった。

 研究グループは、既存の全国サーベイから60~77歳の高齢者を登録し、CAIDE (Cardiovascular Risk Factors, Aging and Dementia)認知症リスクスコア(範囲0~15ポイント)で6ポイント以上であり、認知機能が年齢相当の平均レベルよりもやや劣る人を包含。1対1の割合で、2年間の多面的介入(食事、運動、認知訓練、血管リスクモニタリング)を行う群または対照群(一般的な健康アドバイス)に無作為に割り付けた。被験者は全員、スクリーニング時、ベースライン時、無作為化後6、12、24ヵ月時点で試験看護師と対面し、血圧測定、体重、BMI、腰囲、腹囲の測定を受けた。またスクリーニング時と24ヵ月時点で試験医師と対面し、病歴調査と身体検査を受けた。

 主要アウトカムは、神経心理学的検査バッテリー(neuropsychological test battery:NTB)で測定した認知能の変化で、総合Zスコア(14テストの結果に基づく複合スコア)で判定した。評価はベースライン、12、24ヵ月時点で行われた。なお、途中脱落者も24ヵ月時の最終評価を受けるよう呼びかけが行われた。

食事・運動・認知訓練・血管リスクモニタリング、認知機能低下を有意に抑制
 2009年9月7日~2011年11月24日に2,654例がスクリーニングを受け、1,260例を介入群(631例)または対照群(629例)に無作為に割り付けた。

 介入群591例(94%)、対照群599例(95%)が、試験開始後1回以上の評価を受けており、これら被験者を修正intention-to-treat解析に組み込み分析した。

 2年時点で評価したNTB総Zスコアの推定平均変化値は、介入群0.20(SE:0.02、SD:0.51)、対照群0.16(同:0.01、0.51)であった。両群間の1年当たりのNTB総スコアの差は、0.022(95%信頼区間[CI]:0.002~0.042、p=0.030)で有意差が認められた。

 途中脱落者は全体で153例(12%)(介入群87例[14%]、対照群(66例[11%])であり、群間に有意差はなかった(p=0.07)。

 有害事象の発生は、介入群46例(7%)に対し対照群6例(1%)であったが、最も発現頻度が高かったのは、筋骨格痛(介入群32例[5%] vs. 対照群なし)であった。

(武藤まき:医療ライター)

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コメンテーター : 岡村 毅( おかむら つよし ) 氏

東京都健康長寿医療センター

上智大学

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J-CLEAR評議員