僧帽弁手術を受ける持続性心房細動患者に対し、術中に外科的心房細動アブレーションを行うことで、術後6ヵ月および12ヵ月の心房細動の無発生率が大幅に増大することが示された。ただし、永久ペースメーカー植込みリスクも上昇が示された。米国・クリーブランドクリニックのA. Marc Gillinov氏らが、260例の心房細動患者について行った無作為化比較試験の結果、報告した。僧帽弁手術を受ける患者のうち30~50%に心房細動がみられる。心房細動に対する外科的アブレーションは広く行われているが、安全性、有効性に関するエビデンスは限定的であった。NEJM誌2015年4月9日号(オンライン版2015年3月16日号)掲載の報告より。
術後6、12ヵ月後の心房細動症状を3日間モニタリング
研究グループは、僧帽弁手術を要する持続性または長期持続性心房細動患者260例を対象に無作為化比較試験を行った。無作為に2群に割り付けて、一方の群には僧帽弁手術中に心房細動の外科的アブレーションを行い、もう一方の群には行わなかった。
アブレーション群についてはさらに無作為に2群に分け、肺静脈隔離術または両心房メイズ手術のいずれかを行った。
主要エンドポイントは、6ヵ月と12ヵ月後の心房細動の無発生で、3日間のホルター心電図モニタリングにより評価した。
心房細動無発生はアブレーション群でおよそ2倍
結果、6ヵ月後と12ヵ月後に心房細動が無発生だった人の割合は、アブレーションなしの対照群が29.4%に対し、アブレーション群は63.2%と、大幅に増大した(p<0.001)。
また、ペースメーカー植込みの発生率については、対照群8.1/100患者年に対して、アブレーション群は21.5/100患者年と有意に高率だった(p=0.01)。
一方で1年生存率については、対照群が8.7%でアブレーション群が6.8%と、有意差はなかった(p=0.55)。
なお、アブレーション群のうち肺静脈隔離術を行った群と、両心房メイズ手術を行った群では、心房細動の無発生率について有意差はみられなかった(p=0.60)。
(當麻あづさ:医療ジャーナリスト)