妊娠34~37週、非重症の妊娠高血圧症候群の妊婦について、早期の分娩は母体の有害アウトカムリスクを、わずかだが減少する可能性がある一方、新生児呼吸窮迫症候群(respiratory distress syndrome:RDS)のリスクが有意に増大することが示された。オランダ・フローニンゲン大学のKim Broekhuijsen氏らが非盲検無作為化試験HYPITAT-IIの結果、報告した。結果を踏まえて著者は「ルーチンな早期分娩が正しいとはいえない」と述べ、臨床症状の悪化がみられるまで待機的モニタリング戦略を考慮すべきであるとまとめている。Lancet誌オンライン版2015年3月24日号掲載の報告より。
24時間以内出産の早期分娩群と37週出産の待機的モニタリングで検討
HYPITAT-II試験は、2009年3月1日~2013年2月21日に、オランダ国内7ヵ所の大学病院と44ヵ所の非大学病院で行われた。妊娠34~37週の非重症妊娠高血圧症候群の女性を、陣痛誘発または帝王切開で24時間以内に出産する群(早期分娩群)と、妊娠37週で出産することを意図する群(待機的モニタリング群)の2群に無作為に割り付けて検討した。
主要アウトカムは、有害母体アウトカム(血栓塞栓性疾患、肺水腫、子癇、HELLP症候群、胎盤剥離または妊産婦死亡)と新生児呼吸窮迫症候群の複合であった。
早期分娩群の複合母体転帰はわずかに減少も、新生児のRDSが有意に増大
893例の女性が試験への参加を依頼され、703例が登録されて無作為に早期分娩群352例、待機的モニタリング群351例に割り付けられた。
主要複合母体アウトカムの発生は、早期分娩群4/352例(1.1%)、モニタリング群11/351例(3.1%)であった(相対リスク[RR]:0.36、95%信頼区間[CI]:0.12~1.11、p=0.069)。
新生児呼吸窮迫症候群と診断されたのは、それぞれ20/352例(5.7%)、6/351例(1.7%)で、早期分娩群の有意な増大が認められた(RR:3.3、95%CI:1.4~8.2、p=0.005)。
母体および周産期死亡の発生はなかった。