うつの再発・再燃の予防療法として、マインドフルネス認知療法(mindfulness-based cognitive therapy:MBCT)と抗うつ薬維持療法を比較検討する無作為化試験PREVENTが、英国・オックスフォード大学のWillem Kuyken氏らにより行われた。有効性および費用対効果の観点で行われた評価の結果、MBCTが抗うつ薬維持療法より優れるというエビデンスは示されなかったが、両療法とも、再発・再燃、残存性のうつ症状およびQOLなどで良好なアウトカムを保つことが認められたという。Lancet誌オンライン版2015年4月20日号掲載の報告より。
MBCT vs. 抗うつ薬維持療法の無作為化試験で検討
うつの再発経験がある人は、再燃リスクが高く、最低2年間の抗うつ薬維持療法が推奨されている。しかし患者の多くが、薬物療法に代わる治療法を望んでいる。
MBCTは、通常ケアとの比較で、再発・再燃リスクを減少することが示されているが、抗うつ薬維持療法と比較した検討は行われていなかった。
研究グループは、MBCT-TS(MBCTと併せて抗うつ薬を漸減または中断投与する療法)が抗うつ薬維持療法に優れるか、24ヵ月間のPREVENT試験を行った。多施設単盲検並行群間無作為化対照試験であった。
英国内の都市および周辺地域のプライマリケア一般医から、3回以上の重大うつエピソード経験があり、抗うつ薬維持療法を受ける患者を集めた。
参加者を、MBCT-TS群または抗うつ薬維持療法群に無作為に割り付けた。割り付けはコンピュータ生成乱数配列法にて行った。登録施設および症状で層別化した。参加者は治療割り付けを認識していたが、試験の評価者には治療割り付けはマスキングされた。
主要アウトカムは、うつの再発・再燃までの期間で、患者は24ヵ月間試験期間中5回にわたってフォローアップを受けた。主要解析は原則intention to treatに基づき行われた。
24ヵ月間の再発・再燃リスクのハザード比0.89、両群差はなし
2010年3月23日~2011年10月21日の間に、2,188例の参加者について適格性を評価し、一般医95人から集めた424例の患者をMBCT-TS群(212例)と抗うつ薬維持療法群(212例)に無作為に割り付け検討した。
結果、うつの再発・再燃までの期間は、両群間で差はみられなかった。24ヵ月時点で再発・再燃がなかった人はMBCT-TS群44%、抗うつ薬維持療法群47%で、ハザード比は0.89(95%信頼区間[CI]:0.67~1.18、p=0.43)であった。
重篤有害事象の発生についても差はみられなかった。有害事象は5件報告され、うち2例が死亡(MBCT-TSと抗うつ薬維持療法の各群で報告)であったが、有害事象は、介入または試験に起因したものはなかった。