新規開発中のコレステロールエステラーゼ転送蛋白(CETP)阻害薬TA-8995は、軽度脂質異常症患者への投与において忍容性は良好で、脂質やアポリポ蛋白に有益な効果をもたらすことが、G Kees Hovingh氏らによる第II相無作為化二重盲検プラセボ対照試験の結果、報告された。12週時点でLDLコレステロール値は、5mgおよび10mg用量の単独投与で45.3%低下、10mg用量+スタチン薬との併用投与では63.3~68.2%低下し、HDLコレステロール値は10mg用量単独で179.0%上昇、10mg用量+スタチン薬併用投与では152.1~157.5%上昇が認められたという。著者は、「示された所見が心血管疾患イベントの抑制をもたらすのか、心血管疾患をアウトカムとした試験を行う必要がある」と述べている。Lancet誌オンライン版2015年6月2日号掲載の報告より。
364例を用量別、スタチン薬併用の9群に無作為化し検討
新たなCETP阻害薬TA-8995の安全性、忍容性、有効性を評価した試験は、オランダ、デンマークの病院および臨床研究組織の計17ヵ所で、2013年8月15日~2014年1月10日の間に患者を登録して行われた。被験者は年齢18~75歳で、既往の脂質降下薬をウォッシュアウト後、空腹時LDLコレステロール(LDL-C)値が2.5~4.5mmol/L、HDLコレステロール(HDL-C)値が0.8~1.8mmol/L、トリグリセライド値4.5mmol/L以下の患者364例であった。
コンピュータ無作為化法を用いて、1対1の割合で次の9つの治療群のうち1つを受けるよう割り付けた。プラセボ群(40例)、TA-8995 1日用量1mg群(41例)、同2.5mg群(41例)、同5mg群(40例)、同10mg群(41例)、10mg TA-8995+20mgアトルバスタチン(40例)、プラセボ+20mgアトルバスタチン(40例)、10mg TA-8995+10mgロスバスタチン(41例)、プラセボ+10mgロスバスタチン(41例)。スタチン薬はオーバーカプセル化してマスキングに努めた。
主要アウトカムは、ベースラインから12週時点までの、LDL-C値とHDL-C値の変化の割合(%)とした。
LDL-C値は27.4~45.3%低下、HDL-C値は大きく上昇
12週時点でLDL-C値は、TA-8995 1日用量1mg群では27.4%低下、2.5mg用量群で32.7%低下、5mg用量群45.3%低下、10mg用量群45.3%の低下がみられた(対プラセボのp<0.0001)。また、10mg TA-8995+20mgアトルバスタチン併用群では68.2%低下、10mg TA-8995+10mgロスバスタチンは63.3%低下した(対スタチン単独のp<0.0001)。
HDL-C値については、TA-8995 1日用量1mg群では75.8%上昇、2.5mg用量群は124.3%、5mg用量群は157.1%、10mg用量群は179.0%上昇した(対プラセボのp<0.0001)。10mg TA-8995+20mgアトルバスタチン併用群では152.1%上昇、10mg TA-8995+10mgロスバスタチン併用群では157.5%の上昇を認めた(対スタチン単独のp<0.0001)。
重篤な有害事象や肝または筋の毒性作用の徴候は記録されなかった。
(武藤まき:医療ライター)