中等度~重度の尋常性乾癬にトファシチニブが有望/Lancet

提供元:ケアネット

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公開日:2015/06/26

 

 中等度~重度の慢性尋常性乾癬に対し、トファシチニブ(商品名:ゼルヤンツ、慢性尋常性乾癬に対しては未承認)の10mg1日2回投与はエタネルセプト(50mgを週2回)に非劣性であり、プラセボより優れることが示された。フランス・サンルイ病院のHerve Bachelez氏らが第III相の無作為化非劣性試験の結果、報告した。トファシチニブは、経口ヤヌスキナーゼ(JAK)阻害薬である。今回の検討では、トファシチニブの5mgまたは10mgの2種の用量について、高用量のエタネルセプトおよびプラセボとの比較が行われた。Lancet誌オンライン版2015年6月4日号掲載の報告より。

トファシチニブの2用量について無作為化比較試験、vs.エタネルセプトおよびプラセボ
 試験は、多施設共同ダブルダミーにて12週にわたって行われた。慢性尋常性乾癬を有する(12ヵ月以上)、全身療法または光線療法候補の成人患者で、PASIスコア12以上、PGAは中等度~重度であり、治療反応がなく禁忌があり、もしくは全身療法忍容性なしが1回以上あった患者を対象とした。被験者は米国とカナダを除く諸外国122の皮膚科センターから登録された。

 適格患者は3対3対3対1の割合で、トファシチニブを約12時間ごとに1日2回5mgまたは10mg投与を受ける群、エタネルセプト50mg皮下注を3~4日間隔で週2回投与を受ける群、プラセボ投与を受ける群に無作為に割り付けられた。すべての患者および試験関係者は、治療割り付けを知らされなかった。

 主要エンドポイントは2つで、12週時点でのPASIスコアのベースラインからの75%以上低下(PASI 75反応例)と、PGAスコアが0(寛解)または1(ほぼ寛解)の達成患者(PGA反応例)の割合とした。解析は無作為化を受けた患者および1回以上試験薬投与を受けた患者を含めて行われた。

10mg1日2回群で非劣性示す、有害事象の発生は同程度
 2010年11月29日~2012年9月13日に、適格患者1,106例が登録され、4つの治療群に無作為に割り付けられた。トファシチニブ 5mgを1日2回群330例、トファシチニブ 10mgを1日2回群332例、エタネルセプト50mg週2回群336例、プラセボ群108例であった。実際の治療を受けた患者は1,101例で、それぞれ329例、330例、335例、107例であった。

 12週時点のPASI 75反応例の報告は、トファシチニブ 5mg群130/329例(39.5%)、トファシチニブ 10mg群210/330例(63.6%)、エタネルセプト群197/335例(58.8%)、プラセボ群6/107例(5.6%)であった。

 PGA反応例は、トファシチニブ 5mg群155/329例(47.1%)、トファシチニブ 10mg群225/330例(68.2%)、エタネルセプト群222/335例(66.3%)、プラセボ群16/107例(15.0%)であった。

 有害事象の発生割合は4群で同程度だった。重篤な有害事象は、トファシチニブ 5mg群は7/329例(2%)で、トファシチニブ 10mg群は5/330例(2%)、エタネルセプト群は7/335例(2%)、プラセボ群2/107例(2%)であった。

 有害事象により割り付け治療を中止したのは、トファシチニブ 5mg群3/329例(1%)、トファシチニブ 10mg群10/330例(3%)、エタネルセプト群11/335例(3%)、プラセボ群4/107例(4%)であった。

 以上を踏まえて著者は、「中等度~重度の慢性尋常性乾癬患者において、トファシチニブ 10mg1日2回投与は、エタネルセプト50mg週2回投与に対して非劣性であり、プレセボより優れていた。しかし、トファシチニブ 5mg1日2回投与は、エタネルセプト50mg週2回投与に対して非劣性を示さなかった。また、12週間の有害事象発生率は、トファシチニブとエタネルセプトで同程度であった」とまとめ、「今回の研究成果は、トファシチニブが将来的に、中等度~重度の慢性尋常性乾癬患者にとって簡便で忍容性のある治療オプションとして提供可能であることを示すものであった」と結んでいる。

(武藤まき:医療ライター)