予定外妊娠は、米国において引き続き重大な公衆衛生上の課題となっている。米国・カリフォルニア大学サンフランシスコ校のCynthia C Harper氏らは、長期間作用型可逆的避妊法(LARC)へのアクセスを増大する介入効果について、クラスター無作為化試験を行った。その結果、家族計画カウンセリング参加者へのLARCや子宮内避妊器具(IUD)へのアクセスに関するカウンセリングの提供により、予定外妊娠は減少可能であることを報告した。米国では妊娠の51%が予定外妊娠と推計されており、その多くが18~24歳の低所得でマイノリティに属する女性だという。米国疾病予防センター(CDC)は予定外妊娠の予防策としてLARCへのアクセス増大を推奨しているが、米国のIUD使用率は9%と他の先進国(フランス23%など)と比べて低い現状だという。Lancet誌オンライン版2015年6月16日号掲載の報告より。
LARCカウンセリングの訓練介入施設と非介入施設における妊娠率を比較
試験は、2011~2013年に全米40ヵ所の産婦人科クリニックの協力を得て行われた。20クリニックを、IUDまたはプロゲスチンインプラントのカウンセリングおよび装着提供に関するエビデンスベースの訓練介入を受ける群に割り付け、他の20クリニックは標準ケアを提供する(対照)群に割り付けた。避妊にかかる標準コストは全施設に保証された。
家族計画または中絶ケアを受診中で今後12ヵ月間は妊娠を望んでいない18~25歳の女性を集め評価した。
主要アウトカムは、訪問先クリニックでのIUDまたはインプラントの選択で、副次アウトカムは12ヵ月以内の妊娠とした。クラスターデータについて一般化推定方程式を用いて避妊選択に関する介入効果を測定し、また、生存分析で妊娠率を評価した。
訓練介入施設でLARC選択が増え妊娠率も低下
登録された女性は1,500例であった。被験者の報告から、IUDまたはインプラントのカウンセリングは訓練介入群のほうが対照群よりも多く行われていることが判明した(71% vs.39%、オッズ比[OR]:3.8、95%信頼区間[CI]:2.8~5.2)。
通院中にLARCを選択した女性も、訓練介入群のほうが多かった(28% vs.17%、OR:1.9、95%CI:1.3~2.8)。
妊娠率は、家族計画受診後では、対照群よりも介入群が顕著に低く(7.9 vs.15.4/100人年)、クリニックに対する訓練介入の有意な効果が認められた(ハザード比:0.54、95%CI:0.34~0.85)。一方で、中絶ケア受診後では妊娠率に差はみられなかった(26.5 vs.22.3/100人年)。
(武藤まき:医療ライター)