DNAミスマッチ修復(MMR)遺伝子変異キャリアであるリンチ症候群の女性について調べたところ、「初潮年齢が遅い」「生産児あり」「ホルモン避妊薬の1年以上使用」が、いずれも子宮内膜がんリスクの低下と関連することが明らかにされた。オーストラリア・メルボルン大学のSeyedeh Ghazaleh Dashti氏らが、リンチ症候群の女性1,128例について行った後ろ向きコホート試験の結果、報告した。現状では、リンチ症候群の子宮内膜がんリスクを低下する方法としては、子宮摘出術のみが明らかになっている。JAMA誌7月7日号掲載の報告より。
初潮、最初と最後の出産、月経閉止年齢、ホルモン避妊薬の使用などを調査
研究グループは、1997~2012年の大腸がん患者の家族レジストリ(Colon Cancer Family Registry)を基に、リンチ症候群の女性1,128例について後ろ向きコホート試験を行い、ホルモン因子と子宮内膜がんとの関連を検証した。被験者は、米国、オーストラリア、カナダ、ニュージーランド在住だった。
被験者について、初潮、最初と最後の出産、月経閉止のそれぞれの年齢、生産児数、ホルモン避妊薬の使用や月経閉止後のホルモン服用の有無について調べた。
主要アウトカムは、自己申告による子宮内膜がんの診断だった。
1年以上のホルモン避妊薬の使用でリスクは0.39倍に
その結果、被験者のうち子宮内膜がんを発症したのは、133例だった(罹患率:0.29/100人年、95%信頼区間:0.24~0.34)。
初潮年齢が13歳以上、生産児1人以上、1年以上のホルモン避妊薬の使用は、いずれも子宮内膜がん発症リスクの低下に関連していた(それぞれ、ハザード比:0.70、0.21、0.39)。
一方で、最初と最後の出産年齢や月経閉止の年齢、月経閉止後のホルモン服用は、いずれも子宮内膜がん発症リスクとは関連が認められなかった。
(當麻あづさ:医療ジャーナリスト)