H.pylori除菌治療、最も有効なレジメンは?/BMJ

複数あるヘリコバクター・ピロリ(H.pylori)除菌治療の有効性と忍容性について、中国・安徽医科大学のBao-Zhu Li氏らが、システマティックレビューとネットワークメタ解析により評価を行った。結果、14種類の除菌治療に関するデータが入手でき、解析の結果、標準治療とされている抗菌薬3剤併用7日間の効果が最も低く、最も有効であるのは、併用療法(抗菌薬3剤+PPI阻害薬)で、次いで抗菌薬3剤+生菌10~14日間、レボフロキサシンベースのトリプル治療10~14日間、ハイブリッド治療14日間、逐次的治療10~14日間であることが示唆された。標準治療は除菌効果が低いとして、多くの新たなレジメンが導入され、効果が高いものがあることも報告されている。しかし、各治療間の比較や最適な治療を特定する検討はこれまで限定的であった。BMJ誌オンライン版2015年8月19日号掲載の報告。
14種類の除菌治療データをネットワークメタ解析
研究グループは、言語や日付を限定せず、Cochrane Library、PubMed、Embaseを検索し、成人を対象としたH.pylori除菌治療の無作為化試験の全文報告を特定し、除菌率が最も高く、同時に一般的な有害事象の尤度が最も低い除菌治療を調べた。検索により1万5,565試験が特定された。143試験が適格基準を満たし、14種類の除菌治療に関するデータが入手でき解析に組み込んだ(intention to treat解析被験者数3万2,056例)。
最も有効性が高かったのは併用療法(抗菌薬3剤+PPI阻害薬)7日間
有効性アウトカムに関する比較は91件で、そのうち直接比較されたものは34件であった。除菌効果は、標準療法を含めすべての治療で有効であったが、有効性のランク付けで最も高位だったのは「併用療法(抗菌薬3剤+PPI阻害薬)7日間」で、次いで「併用療法10~14日間」「抗菌薬3剤+生菌10~14日間」「レボフロキサシンベースのトリプル治療(PPI阻害薬+レボフロキサシン+抗菌薬)10~14日間」「ハイブリッド治療14日間(PPI阻害薬+アモキシシリン7日間、PPI阻害薬+アモキシシリン+クラリスロマイシン+メトロニダゾール[5-nitroimidazole] 7日間)」「逐次的治療10~14日間(PPI阻害薬+アモキシシリン5~7日間、PPI阻害薬+クラリスロマイシン+メトロニダゾールまたはアモキシシリン5~7日間)であった。
忍容性もすべての治療で良好であると認められたが、同ランクが最高位であった「抗菌薬3剤+生菌7日間」「レボフロキサシンベースのトリプル治療7日間」は、有害事象の報告割合も高かった。
原著論文はこちら
Li BZ, et al. BMJ. 2015;351:h4052.
[ 最新ニュース ]

脳出血既往AFに対する脳梗塞予防、DOACは有用か?/Lancet(2025/03/07)

GLP-1受容体作動薬、自殺リスクと関連せず/BMJ(2025/03/07)

活動性ループス腎炎に対する新しいタイプの抗CD20抗体の治療効果(解説:浦信行氏)(2025/03/07)

抗PD-L1抗体薬、GLP-1薬などに重大な副作用追加/厚労省(2025/03/07)

新規作用機序の潰瘍性大腸炎治療薬オザニモド、その特徴は?/BMS(2025/03/07)

治療抵抗性強迫症に対するSSRI+ブレクスピプラゾールの有用性(2025/03/07)

硬膜外ステロイド注射は慢性腰痛に効果あり?(2025/03/07)

日本人の4人に1人がコロナ陰謀論を信じている!?(2025/03/07)
専門家はこう見る
H. pylori 除菌治療のリスク・ベネフィット:システマティックレビューとメタ解析(解説:上村 直実 氏)-414
コメンテーター : 上村 直実( うえむら なおみ ) 氏
国立国際医療研究センター国府台病院 名誉院長
東京医科大学 消化器内視鏡学講座 兼任教授
J-CLEAR評議員