ステント内再狭窄の至適治療戦略は?/Lancet

提供元:ケアネット

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公開日:2015/09/04

 

 ステント内再狭窄(ISR)の経皮的治療について、エベロリムス薬剤溶出ステントを用いた経皮的冠動脈介入(PCI)と薬剤コーティングバルーン(drug-coated balloons:DCB)治療の2つが、考慮すべき治療戦略であることが、スイス・ベルン大学病院のGeorge C M Siontis氏らによるネットワークメタ解析の結果、示された。その理由について著者は、「前者は、血管造影の径狭窄率が最も良好である。後者は、新たなステント層を追加することなく良好な成績が得られるからだ」と述べている。薬剤溶出ステントを用いたPCIは、未治療の冠動脈狭窄症の標準治療となっている。しかし、これまでベアメタルステントや薬剤溶出ステントのISRに対する至適治療は確立されていなかなった。Lancet誌2015年8月15日号掲載の報告より。

ネットワークメタ解析で、エビデンスを統合しランク付け

 研究グループは、ISRの経皮的治療戦略を比較しランク付けるため、ネットワークメタ解析で、関連するすべての無作為化比較試験のエビデンスを統合して検討した。2014年10月31日時点でPubMed、Cochrane Library Central Register of Controlled Trials、Embaseを検索し、タイプを問わない冠動脈ISRの治療に関する種々のPCI戦略についての無作為化比較試験の発表論文を特定した。

 主要アウトカムは、フォローアップ血管造影時の径狭窄率であった。

考慮すべき戦略は、エベロリムス薬剤溶出ステント・PCIとDCB

 検索で適格条件を満たした27試験・5,923例のデータが解析に組み込まれた。介入後フォローアップの期間は6ヵ月から60ヵ月。そのうち、血管造影のフォローアップが入手できたのは、4,975/5,923例(84%)・介入後6~12ヵ月であった。

 解析の結果、径狭窄率でみた有効性が最も優れていたのは、エベロリムス薬剤溶出ステント・PCIで、その他の治療戦略との差は、対DCBで-9.0%(95%信頼区間[CI]:-15.8~2.2)、対シロリムス溶出ステント-9.4%(-17.4~-1.4)、対パクリタキセル溶出ステント-10.2%(-18.4~-2.0)、対冠動脈内放射線治療(vascular brachytherapy)-19.2%(-28.2~-10.4)、対ベアメタルステント-23.4%(-36.2~-10.8)、対バルーン血管形成術-24.2%(-32.2~-16.4)、対ロタブレーション-31.8%(-44.8~-18.6)であった。

 2番目に有効性が高い治療としてランク付けされたのはDCBであった。シロリムス溶出ステント(-0.2%、95%CI:-6.2~5.6)やパクリタキセル溶出ステント(-1.2%、-6.4~4.2)と有意な差は認められなかったが、著者は、「新たなステント層を追加することなく良好な成績が得られるので」と述べている。

 これらの結果を踏まえて著者は、「あらゆる冠動脈ISRに関して、2つの治療が考慮すべき戦略であることが示された」とまとめている。

(武藤まき:医療ライター)

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コメンテーター : 中川 義久( なかがわ よしひさ ) 氏

滋賀医科大学 循環器内科 教授

J-CLEAR評議員