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乳頭状腎細胞がん、遺伝子解析で特徴付けが判明/NEJM

提供元:ケアネット

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公開日:2015/11/18

 

 腎細胞がんの15~20%を占め、1型と2型の存在が示されている乳頭状腎細胞がんは、これまでその遺伝子レベルの特性はほとんど解明されておらず、また病勢進行における有効な治療法はない。米国国立がん研究所のW. Marston Linehan氏ら、がんゲノムアトラス研究ネットワークは、161例の患者について分析を行い、1型と2型では臨床的および生物学的に異なること、さらに2型については3つのサブタイプがあることなどを明らかにした。NEJM誌オンライン版2015年11月4日号掲載の報告。

1型、2型を含む161例について解析
 乳頭状腎細胞がんは、不均一性の疾患で、無痛性、多発性、孤在性、高致死表現型などさまざまなタイプが存在する腎細胞がんである。

 研究グループは、原発性乳頭状腎細胞がん患者161例について、全エクソーム・シーケンシング、コピー数解析、メッセンジャーRNAおよびマイクロRNAシーケンシング、DNAメチル化解析、プロテオーム解析にて、分子レベルの統合的特徴付けを行った。

 被験者のうち1型が75例、2型は60例、分類不可が26例であった。1型はStageIの、2型はStageIII/VIの頻度が高かったが、これらの所見は先行研究と一致したものであった。

1型と2型で異なる遺伝子変異が判明、さらに2型は3つにサブ分類
 統合分析の結果、1型と2型は、特異的遺伝子変異により違いが特徴付けられることが示された。さらに2型は患者の生存と関連する遺伝子の違いで、3つのサブグループに分類できた。

 具体的には、1型はMET遺伝子変異と関連していた。一方、2型はCDKN2A遺伝子サイレンシング、SETD2遺伝子突然変異、TFE3遺伝子融合によって特徴付けられ、NRF2-抗酸化反応(ARE)経路発現の増加がみられた。また、CDKN2A遺伝子変異が認められた患者では、認められなかった患者よりも全生存が有意に低かった。

 さらに、2型のCpGアイランドメチル化形質(CIMP)が観察されたサブグループで、生存不良、フマル酸ヒドラターゼ(FH)遺伝子コード変異が特徴付けられた。

 これらの結果から著者は、「乳頭状腎細胞がんの1型と2型は、臨床的および生物学的に異なることが示された。1型はMET経路の変異と関連しており、2型はNRF2-ARE経路活性と関連していた。また2型ではCDKN2A欠損とCIMPにより予後不良の判断が可能であった。さらに、2型は遺伝子および表現型の違いに基づき、少なくとも3つのサブタイプが存在した」とまとめている。