間欠性跛行を呈する末梢動脈疾患(PAD)患者に対し、血管内血行再建術と運動療法の併用は、運動療法単独と比べて有用であることが、オランダ・エラスムス大学医療センターのFarzin Fakhry氏らによる無作為化試験の結果、明らかにされた。1年後時点で、併用群のほうが歩行距離および健康関連QOLが有意に大きく改善した。間欠性跛行に対しては運動療法が第一選択治療とされている。血管内血行再建術との併用については有望視はされていたが、これまで比較検討されたデータはほとんどなかったという。JAMA誌2015年11月10日号掲載の報告。
212例を対象に無作為化試験、12ヵ月後の最大歩行距離の差を評価
試験はオランダ国内の10施設で2010年5月17日~13年2月16日に、212例の患者を対象に行われた。
患者は、血管内血行再建(選択的ステント)術+運動療法(106例)または運動療法単独(106例)を受ける群に無作為に割り付けられ、12ヵ月間追跡を受けた。
主要エンドポイントは、12ヵ月時点での両群間のトレッドミル最大歩行距離の差。副次エンドポイントは、疼痛なしトレッドミル歩行距離、VascuQOLスコア(最不良アウトカム1点~最良好アウトカム7点)、SF-36領域スコア[身体機能、身体的日常役割機能、体の痛み、全体的健康感(著しく制限あり1点~制限なし100点)などであった。
併用群で有意に大きく改善、歩行距離の差は282m
12ヵ月時点で、最大歩行距離は、併用群は264mから1,501mに1,237m延長した一方、運動療法単独群は285mから1,240mへと955mの延長で、併用群のほうが有意に大きく改善した(平均群間差:282m、99%信頼区間[CI]:60~505m、p=0.001)。
疼痛なし歩行距離も、併用群は117mから1,237mに1,120m延長した一方、運動療法単独群は135mから847mへと712mの延長で、併用群のほうが有意に大きく改善が認められた(平均群間差:408m、99%CI:195~622m、p<0.001)。
同様に、疾患特異的VascuQOLスコア(併用群1.34[99%CI:1.04~1.64] vs.単独群0.73[同:0.43~1.03];平均群間差:0.62[99%CI:0.20~1.03]、p<0.001)、SF-36身体機能スコア(22.4[99%CI:16.3~28.5] vs.12.6[同:6.3~18.9];9.8[99%CI:1.4~18.2]、p=0.002)についても、併用群で有意に大きな改善が認められた。
SF-36領域のうち、身体的日常役割機能(両群差:14.0、p=0.02)、体の痛み(同:7.6、p=0.02)、全体的健康感(同4.1、p=0.11)については有意差はみられなかった。
(医療ライター 武藤 まき)