院内で医師が飲むコーヒーの年間摂取量は、外科医が内科医より多い傾向があり、専門科医別にみると整形外科医が最も多く、最も少ないのは麻酔科医だった。また、若手医師よりも、経験5年超のベテラン医師のほうが摂取量は多いこと、部門トップが最も多くおごっていることなどが判明したという。スイス・Kantonsspital St. Gallen社のKarlmeinrad Giesinger氏らが、ある教育病院に所属する医師800人弱について、1年間の院内カフェテリアにおけるコーヒー購入状況を調べ報告した。BMJ誌オンライン版2015年12月16日号クリスマス特集号掲載の報告より。
男性約400人、女性約300人を後ろ向きに追跡
Giesinger氏らは、2014年にスイスの教育病院に所属する766人(うち男性425人、女性341人)を対象に、後ろ向きコホート研究を行い、コーヒーの年間摂取量について分析を行った。
被験者の内訳は、内科医201人、一般外科医76人、麻酔科医67人、放射線科医54人、整形外科医48人、婦人科医43人、神経内科医36人、神経外科医23人、その他の診療科医96人だった。
主要評価項目は、1人当たりの年間コーヒー購入量だった。
男性が女性より、上級医が下級医より多量
その結果、2014年に院内カフェテリアでコーヒーを購入したのは、被験者医師の84%にあたる644人で、合わせて7万772杯だった。
コーヒーの年間摂取量と医師の専門科の間には、有意な関連が認められた(F=12.45、p<0.01)。年間コーヒー摂取量が最も多かったのは整形外科医で189杯(標準偏差:136)、次いで放射線科医の177杯(同:191)、一般外科医167杯(同:138)だった。
一方、年間コーヒー摂取量が最少だったのは、麻酔科医の39杯(同:48)だった。
性別では、女性が年間86杯(同:86)に対し男性が年間128杯(同:140)と有意に多かった(t=-4.66、p<0.01)。エスプレッソの摂取量についても、女性が年間10杯(同:19)に対し男性が27杯(同:46)と2倍以上有意に多かった(t=-6.54、p<0.01)。
さらに、上級医のほうが下級医に比べ、摂取量が多い傾向が認められた(F=4.55、p=0.04)。若手医師や研修医は年間平均95杯(同:85)だったのに対し、経験5年超のシニアの医師は同140杯(同:169)だった。
また、コーヒーを同僚医師などにおごる回数も、上級医になるにつれて増加の傾向が認められた(x
2
=556.24、p<0.01)。1人当たりの年間摂取量における2杯以上の購入回数をみると、若手医師が15%に対し、5年超のシニアの医師は22%、所属部門トップでは年間摂取量はシニアの医師よりも少なかったが、2杯以上の購入回数が占めた割合は30%と最多だった。
(医療ジャーナリスト 當麻 あづさ)