pembrolizumab、進行性悪性黒色腫に有望/JAMA

提供元:ケアネット

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公開日:2016/05/09

 

 進行性悪性黒色腫の治療において、免疫チェックポイント阻害薬pembrolizumabは、高い有効性と良好な安全性を発揮することが、米国・カリフォルニア大学ロサンゼルス校のAntoni Ribas氏らが行ったKEYNOTE-001試験の長期データの解析で示された。研究の成果は、JAMA誌2016年4月19日号に掲載された。pembrolizumabは、プログラム細胞死1(PD-1)に対するヒト型モノクローナルIgG4-κ抗体であり、同試験の悪性黒色腫の拡大コホート奏効例のフォローアップ期間中央値11ヵ月時の解析では、投与スケジュールの違いやイピリムマブ投与歴の有無により25~52%の客観的奏効率が報告されている。

4ヵ国、655例の第Ib相試験の長期的な統合データを解析
 KEYNOTE-001試験は、さまざまながん種に対するpembrolizumabの安全性と抗腫瘍効果を評価する非盲検第Ib相試験であり、研究グループは今回、進行性悪性黒色腫の長期的な統合データの解析を行った(Merck社の助成による)。

 対象は、年齢18歳以上、全身状態(ECOG PS)が0~1の切除不能な進行性悪性黒色腫の患者であった。イピリムマブの投与を受けていない患者は前治療レジメン数を1~2とし、同薬の投与を受けた患者はレジメン数に制限を設けなかった。

 被験者は、pembrolizumab10mg/kgを2週ごとに投与する群、同10mg/kgを3週ごとに投与する群、同2mg/kgを3週ごとに投与する群に割り付けられ、病勢進行、耐用不能な毒性の発現、担当医が中止すべきと判断するまで継続された。

 主要評価項目は、ベースライン時に測定可能性病変を有していた患者における確定された客観的奏効率(完全奏効[CR]+部分奏効[PR])とし、中央判定を行った。

 2011年12月~13年9月までに、オーストラリア、カナダ、フランス、米国の研究施設に655例が登録された。このうち135例が非無作為化コホート(イピリムマブ未治療:87例、同既治療:48例)で、520例は無作為化コホート(イピリムマブ未治療:226例、同既治療:294例)であった。

奏効率33%、1年PFS 35%、OS 23ヵ月、Grade 3/4の有害事象14%
 ベースラインの全体の年齢中央値は61歳(範囲:18~94歳)、男性が62%(405例)であり、測定可能病変は655例中581例に認められた。フォローアップ期間中央値は15ヵ月(範囲:8~29ヵ月)であった。

 客観的奏効率は33%(194/581例、95%信頼区間[CI]:30~37)であり、前治療を受けていない例では45%(60/133例、同:36~54)に達した。イピリムマブ既治療例は29%(87/304例)、未治療例は39%(107/277例)だった。

 最終的なデータ・カットオフ日(2014年10月18日)の時点で、測定可能病変以外の患者を含めた全体の奏効例のうち、74%(152/205例)で奏効が持続しており(前治療のない患者では82%[53/65例])、奏効期間が1年以上の患者は44%(90/205例)、6ヵ月以上は79%(162/205例)であった。

 1年無増悪生存(PFS)率は、全体では35%(95%CI:31~39)であり、前治療なしの患者では52%(同:43~60)であった。

 全体の全生存(OS)期間中央値は23ヵ月(95%CI:20~29)であり、1年OS率は66%(同:62~69)、2年OS率は49%(同:44~53)であった。前治療なしの患者では、それぞれ31ヵ月(同:24~未到達)、73%(同:65~79)、60%(同:51~68)だった。

 PFSおよびOSは、イピリムマブによる治療歴のある患者とない患者でほぼ同じであった。

 Grade3/4の治療関連有害事象を1件以上経験した患者の割合は14%(92/655例)であり、治療関連有害事象による治療中止は4%(27/655例)であった。また、治療関連の重篤な有害事
象は9%(59/655例)にみられた。治療関連死は認めなかった。

 著者は、「これらの結果は、もう1つの抗PD-1抗体製剤であるニボルマブの同様の試験(奏効率31%、1年OS率62%、2年OS率43%)と類似していた」としている。

(医学ライター 菅野 守)