9価ヒトパピローマウイルス(HPV)ワクチン(メルク社製)の免疫原性について、9~14歳の男女児への2回投与(6または12ヵ月間隔で)は16~26歳の若年女性への3回投与(6ヵ月間で)に対し非劣性であることが、ノルウェー・ベルゲン大学のOle-Erik Iversen氏らによる非盲検非劣性免疫原性比較試験の結果、報告された。HPV感染は性器・肛門がん、疣贅を引き起こす。9価HPVワクチンは、子宮頸がんの90%に関与する高リスクの7つの型、および疣贅の90%に関与する2つの型のHPVに予防効果を示し、従来の2価および4価のHPVワクチンよりもカバー範囲が広い。JAMA誌オンライン版2016年11月21日号掲載の報告。
16~26歳の若年女性への3回投与と比較
検討は、15ヵ国52の外来ケア施設で行われた。2013年12月16日にスタートし、被験者登録が締め切られたのは2014年4月18日、被験者への最終評価は2015年6月19日に行われた。
次の5つのワクチン接種コホートに被験者を登録し、免疫原性について評価した。(1)9~14歳の女児に6ヵ月間隔で2回投与(301例)、(2)9~14歳の男児に6ヵ月間隔で2回投与(301例)、(3)9~14歳の男児・女児に12ヵ月間隔で2回投与(301例)、(4)9~14歳の女児に6ヵ月間で3回投与(301例)、(5)16~26歳の若年女性に6ヵ月間で3回投与(314例、標準対照群)。
主要エンドポイントは、事前に規定した最終接種後1ヵ月(4週)時点で、競合的免疫検定法で評価したHPV各型(6、11、16、18、31、33、45、52、58)の免疫獲得についてだった。(1)~(3)の3つの2回投与群を標準対照群と比較し、各HPVの幾何平均抗体価(GMT)の率比を算出。非劣性マージンを両側95%信頼区間(CI)(=片側97.5%CI下限値)0.67として評価した。
男児・女児、6ヵ月または12ヵ月間隔で2回接種について非劣性を確認
全被験者1,518例は、女児が753例(平均年齢11.4歳)、男児が451例(同11.5歳)、若年女性は314例(同21.0歳)であった。1,474例が試験投与を完了し、データが得られた1,377例について解析した。
最終接種後4週時点で、2回投与の男女児のHPV免疫獲得は、標準対照群に対し非劣性であった(HPV各型のp<0.001)。標準対照群との比較によるHPV各型のGMT率比の片側97.5%CI下限値は、(1)群では1.36(HPV-52)~2.50(HPV-33)、(2)群では1.37(HPV-45)~2.55(HPV-33)、(3)群では1.61(HPV-45)~5.36(HPV-33)にわたっていた。なお、上限値はすべて∞であった。
これらの結果を踏まえて著者は、「さらなる検討を行い、免疫獲得の持続性と臨床的アウトカムへの効果を評価する必要がある」と述べている。