韓国で起きている甲状腺がんの “流行”は、スクリーニングで、2cm未満の小さな腫瘍の過剰検出の増大によるものであることが、韓国国立がんセンターのSohee Park氏らによる全国調査の結果、明らかにされた。近年、多くの国で、死亡率にほとんど影響しない甲状腺がんの有病率増大が報告されている。甲状腺がん有病率の増大は、主に、小さな高分化型甲状腺がんの検出によるもので、有病率増大は過剰診断によるものではないかとみなされている一方で、その考え方に納得せず異議を唱える声も少なくない。韓国では1999年に10万人当たり6.3だった甲状腺がんの有病率は、2009年には47.5と7倍超に増大し、世界で最も有病率の高い国となっている。BMJ誌2016年11月30日号掲載の報告。
韓国の1999~2008年の甲状腺がん有病率の変化を検出方法別に精査
韓国において、甲状腺がんのスクリーニングが“流行”につながったのかどうかについての全国調査は、1999年、2005年、2008年に甲状腺がんと診断された患者の代表的サンプルの医療記録をレビューして行われた。
サンプリングは全国がんレジストリから、地域で層別化後システマティックサンプリング法を用いて無作為に選出。解析には、1999年891例、2005年2,355例、2008年2,550例の計5,796例が包含された。
主要アウトカムは、1999~2008年の甲状腺がんの年齢標準化有病率と有病率の変化で、検出方法別(スクリーニング検出 vs.診断検査 vs.非特異的)に調べた。
増大分の94.4%は20mm未満腫瘍検出例、増大の約60%が2005~08年に発生
結果、甲状腺がんの有病率は、1999年は10万人当たり6.4(95%信頼区間[CI]:6.2~6.6)であったが、2008年は同40.7(40.2~41.2)と、1999~2008年の間で6.4倍(95%CI:4.9~8.4)に増大していた。
増大分のうち94.4%(10万人当たり34.4)は、20mm未満の腫瘍検出例であり、97.1%は、SEER summary stageで局所または領域の分類例であった。
また、増大分の約60%は、2005~08年に発生し、主にスクリーニング検出例の20mm未満の腫瘍が占めていた。
一方で、同期間中の診断検査の有病率増大のうち、99.9%(10万人当たりの6.4)が20mm未満の腫瘍の検出例であった。
著者は、「韓国で起きている甲状腺がんの“流行”は、小腫瘍の、大半は過剰検出の増大によるものである。無症候性の一般集団での不要な超音波検査を減らすために、国家的な取り組みが必要である」とまとめている。
(ケアネット)