中等度~重度の季節性アレルギー性鼻炎患者に対する舌下免疫療法の継続治療期間について、2年間の効果について検討した結果、フォローアップ3年目(治療中止後1年時点)の鼻アレルギー反応の改善に関してプラセボとの有意差は示されなかった。英国・インペリアル・カレッジ・ロンドンのGuy W Scadding氏らが、無作為化二重盲検プラセボ対照試験の結果、報告した。舌下免疫療法および皮下免疫療法は、季節性アレルギー性鼻炎に効果的であり、3年間継続治療を行うと、治療中止後2年間は症状の改善が認められていた。研究グループは、治療期間を2年とした場合の効果について調べる検討を行った。JAMA誌2017年2月14日号掲載の報告。
舌下免疫療法 vs.皮下免疫療法 vs.プラセボの無作為化試験
試験はインペリアル・カレッジ・ロンドン単施設にて、3群並行比較にて行われた。被験者は、中等度~重度(日常生活や睡眠に障害がある)の季節性アレルギー性鼻炎の成人患者106例。2011年3月に登録を開始し、最終フォローアップは2015年2月であった。
被験者のうち、36例が舌下免疫療法(主要アレルゲンPhleum p 5の15μg含有錠剤を連日服用し、月に1回プラセボ皮下注)を、36例が皮下免疫療法(月に1回Phleum p 5の20μg含有製剤を皮下投与し、プラセボ錠剤を連日服用)を、34例が適合ダブルプラセボを、それぞれ2年間受けた。
治療前、治療後1、2年、そして3年時点(治療中止後1年時点)で鼻アレルゲン検査を行った。検査後0~10時間の総合鼻症状スコア(TNSS スコア範囲:0[最高]~12[最低])を記録し、最小限の臨床的意義のあるTNSSスコア変化を1.08以内として評価した。
主要アウトカムは、3年時点の舌下免疫療法 vs.プラセボのTNSSとした。皮下免疫療法群は陽性対照として組み込まれたが、本試験では、舌下免疫療法 vs.皮下免疫療法の検出力はなかった。
治療中止後1年時点の評価結果は、プラセボと有意差なし
106例の被験者は、平均年齢33.5歳、女性が32.1%。3年のフォローアップを完了したのは92例(舌下群30例、皮下群31例、プラセボ群31例)であった。
intent-to-treat集団において、舌下免疫療法群のTNSSスコアは、治療前6.36(95%信頼区間[CI]:5.76~6.96)、3年時点4.73(同:3.97~5.48)であった。プラセボ群はそれぞれ6.06(95%CI:5.23~6.88)、4.81(同:3.97~5.65)であった。
ベースラインについて補正後の舌下免疫療法群とプラセボ群の差は、-0.18(95%CI:-1.25~0.90)で有意差は認められなかった(p=0.75)。
(ケアネット)