TAVR・SAVR後の無症候性弁尖血栓症、TIAリスクを増大/Lancet

経カテーテル大動脈生体弁置換術(TAVR)や外科的大動脈生体弁置換術(SAVR)施行後の無症候性弁尖血栓症の発生率は約12%で、SAVRでは約4%に対し、TAVRでは約13%と高率であることが明らかになった。無症候性弁尖血栓症の予防や治療には、抗凝固薬が有効であること、さらに同血栓症は一過性脳虚血発作(TIA)の発症リスクを増大することも確認された。米国・シダーズ・サイナイ心臓研究所のTarun Chakravarty氏らが、TAVRとSAVRを受けた患者登録をした2つのレジストリから890例について行った観察研究で明らかにしたもので、Lancet誌オンライン版2017年3月19日号で発表した。
CT画像の弁の動きなどから弁尖血栓症を特定
検討は、2014年12月22日~2017年1月18日にTAVRまたはSAVRを受けた患者を登録した「RESOLVE」レジストリと、2014年6月2日~2016年9月28日に同患者登録をした「SAVORY」を基に行われた。被験者は、TAVRまたはSAVR施行後に、異なる間隔で専用四次元ボリュームレンダード画像プロトコルによるCT画像を撮影した。CT画像から、弁の動きが悪くなっており、その該当部に異常を示す濃い部分が認められた場合に、無症候性弁尖血栓症と判断した。分析は、CT画像、心エコー画像、神経学的イベントのすべてについて、盲検下で行われた。
TIA発症率、弁尖血栓症あると4.18/100人年と約7倍に
被験者のうちCT画像検査を行ったのは931例(RESOLVEレジストリ657例[71%]、SAVORYレジストリ274例[29%])で、そのうち分析可能なものは890例(それぞれ626例[70%]、264例[30%])だった。890例のうち弁尖血栓症が認められたのは106例(12%)で、施術別にみるとSAVR群は138例中5例(4%)だったのに対し、TAVR群は752例中101例(13%)と、TAVR群で有意に高率だった(p=0.001)。
無症候性弁尖血栓症の発生率は、2剤併用抗血小板薬の服用者では15%(208例中31例)だったのに対し、抗凝固薬の服用者では4%(224例中8例)と有意に低率だった(p<0.0001)。新規経口抗凝固薬(NOAC)服用者の同発生率は3%(107例中3例)で、ワルファリン服用者の4%(117例中5例)と同等だった(p=0.72)。
無症候性弁尖血栓症は、抗凝固薬(ワルファリンやNOAC)の投与により36例中36例(100%)で消失したのに対し、抗凝固薬を投与しなかった例では22例中20例(91%)で消失しなかった(p<0.0001)。
また、無症候性弁尖血栓症が認められなかった人の一過性脳虚血発作(TIA)の発症率は0.60/100人年だったのに対し、認められた人の同発症率は4.18/100人年と有意に高率だった(p=0.0005)。脳卒中またはTIAの発症率も、それぞれ2.36/100人年と7.85/100人年と、無症候性弁尖血栓症がある人で高率だった(p=0.001)。
(医療ジャーナリスト 當麻 あづさ)
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