心臓外科手術で循環動態の補助を必要とする患者において、標準治療に低用量のlevosimendanを追加しても、30日死亡率はプラセボと同等であることを、イタリア・ビタ・サルート・サンラファエル大学のGiovanni Landoni氏らが、周術期左室機能不全患者を対象に、標準治療へのlevosimendan追加により死亡率が低下するかどうかを検証したCHEETAH試験の結果、報告した。急性左室機能不全は心臓外科手術の重大な合併症であり、死亡率上昇と関連している。これまで、小規模試験のメタ解析では、levosimendanは他の強心薬と比較して心臓外科手術を実施した患者の生存率を上昇させる可能性が示唆されていた。NEJM誌オンライン版2017年3月21日号掲載の報告。
標準治療+levosimendanの有効性、対プラセボで評価
CHEETAH試験は、2009年11月~2016年4月にイタリア、ロシア、ブラジルの14施設で実施された多施設共同無作為化二重盲検プラセボ対照試験である。
対象は、術前の左室駆出率が25%未満または機械的な循環動態の補助を必要とする周術期心血管機能不全患者で、標準治療+levosimendan(0.025~0.2μg/kg/分、持続静注)群、または標準治療+プラセボ群に無作為に割り付け、それぞれ最長48時間または集中治療室(ICU)入室から退室まで投与した。
主要アウトカムは30日死亡率で、統計解析はintention-to-treat集団で実施した。
主要アウトカムの30日死亡率は12.9% vs.12.8%で有意差なし
本試験は、506例(levosimendan群248例、プラセボ群258例)が登録された段階(当初予定の50%)での解析で、試験続行の無益性が確認されて中止となった。試験の計画段階での予想死亡率は、プラセボ群10%、levosimendan群5%であった。
解析の結果、30日死亡率は、levosimendan群32例(12.9%)、プラセボ群33例(12.8%)で、両群間に有意差は認められなかった(絶対リスク差:0.1%、95%信頼区間[CI]:-5.7~5.9、p=0.97)。
人工呼吸器使用期間中央値(levosimendan群19時間、プラセボ群21時間、群間差:-2時間、95%CI:-5~1、p=0.48)、ICU在室期間中央値(それぞれ72時間および84時間、群間差:-12時間、95%CI:-21~2、p=0.09)、入院期間中央値(14日および14日、群間差:0日、95%CI:-1~2、p=0.39)も、両群で有意差は確認されなかった。また、低血圧や不整脈の割合も両群で差はなかった。
(医学ライター 吉尾 幸恵)