再生不良性貧血、免疫抑制療法+エルトロンボパグが有望/NEJM

提供元:ケアネット

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公開日:2017/04/28

 

 重症再生不良性貧血患者に対する免疫抑制療法へのエルトロンボパグの追加は、血液学的奏効率の著明な改善と関連することが示された。米国・国立衛生研究所のDanielle M Townsley氏らが、治療歴のない重症再生不良性貧血患者を対象に、標準免疫抑制療法とエルトロンボパグの併用について検討した第I/II相試験の結果を報告した。後天性再生不良性貧血は、免疫介在性の骨髄破壊により生じ、免疫抑制療法が有効であるが、残存する幹細胞数の減少によりその効果が限られる可能性がある。これまでの研究で、免疫抑制療法では難治性の再生不良性貧血患者において、エルトロンボパグ(合成トロンボポエチン受容体作動薬)の投与により、約半数の患者で臨床的に有意な血球数の増加が得られることが示されていた。NEJM誌2017年4月20日号掲載の報告。

エルトロンボパグ併用を過去の臨床試験における標準的な免疫抑制療法と比較
 研究グループは2012年6月~2015年11月に、免疫抑制療法(抗胸腺細胞グロブリンとシクロスポリン)+エルトロンボパグの第I/II相試験(研究者主導の非無作為化歴史的コホート対照研究)に連続症例92例を登録した。登録したコホートを、エルトロンボパグの投与開始時期および期間により3つに分類(コホート1:14日目~6ヵ月、コホート2:14日目~3ヵ月、コホート3:1日目~6ヵ月)。この3つのコホートについて個別に解析を行い、歴史的コホート(過去の無作為化比較対照試験においてウマ抗胸腺細胞グロブリン+シクロスポリンの投与を受けた102例)と比較した。

 主要評価項目は、6ヵ月時の血液学的完全寛解(CHR)、副次評価項目は全般的血液学的寛解(OHR)、生存、再発、骨髄がんへのクローン進化などであった。

エルトロンボパグ併用で、6ヵ月時に3分の1以上の患者が完全寛解
 6ヵ月時のCHR率はコホート1で33%、コホート2で26%、コホート3で58%、OHR率はそれぞれ80%、87%、94%であった。

 3つのコホートを合わせた全体のCHR率およびOHR率は、歴史的コホートより高かった(歴史的コホートのCHR率は10%、OHR率は66%)。追跡期間中央値2年における生存率は97%であった(試験期間中の死亡は1例で、非血液学的な原因によるものだった)。骨髄細胞密度、CD34陽性細胞数、および初期造血前駆細胞発現頻度の顕著な増加が確認された。再発およびクローン進化の割合については、過去の経験と類似していた。患者2例に重篤な皮疹が生じ、エルトロンボパグは早期に中止された。

 今回の結果を検証するため、欧州において大規模無作為化プラセボ対照比較試験(RACE試験)が進行中である。著者は、「今回の長期追跡データとRACE試験により、その後の再発と骨髄がんリスクをより明確にできると考えられる」と述べている。

(医学ライター 吉尾 幸恵)