2型糖尿病患者において、基礎インスリン デグルデク(以下、デグルデク)はインスリン グラルギンU100(以下、グラルギン)と比較して、低血糖発現頻度の低下と関連することが示された。米国・ワシントン大学のCarol Wysham氏らによる無作為化試験「SWITCH 2」の結果で、JAMA誌2017年7月4日号で発表された。インスリン治療を受ける2型糖尿病患者において、低血糖は重大なリスクであり血糖コントロールに負の影響を及ぼす。
デグルデク→グラルギン投与またはグラルギン→デグルデク投与に1対1の割合で割り付け
SWITCH 2試験は2014年1月~2015年12月に、米国152施設において、2×32週間の治療期間(それぞれ、至適用量調整期16週+維持期16週)で実施された二重盲検無作為化クロスオーバーtreat-to-target試験。被験者は、低血糖リスクを1つ以上有する基礎インスリン治療を受ける2型糖尿病患者で、経口血糖降下薬の服用の有無は問わなかった。
被験者は721例で、デグルデク→グラルギン投与(361例)またはグラルギン→デグルデク投与(360例)に1対1の割合で、およびそれぞれ投与時期を朝1回投与または夕方1回投与に1対1の割合で、無作為に割り付けられた。
主要評価項目は、維持期におけるすべての重大な(米国糖尿病学会の定義に基づく)、または血糖値(<56mg/dL)で確定した、症候性低血糖の発現頻度(件/曝露患者年[patient-years of exposure:PYE])。副次評価項目は、夜間の症候性低血糖(0:01 am~5:59 amに発現した重大なまたは血糖値確定症候性低血糖)の発現頻度、維持期に重大な低血糖を発現した患者の割合などであった。
デグルデクのほうがグラルギンより症候性低血糖の発現頻度が低い
無作為化された721例(平均年齢61.4[SD 10.5]歳、男性53.1%)のうち、580例(80.4%)が試験を完遂した。
維持期におけるすべての症候性低血糖の発現頻度は、デグルデク群185.6件/100PYE、グラルギン群265.4件/100PYEで、デグルデク群が有意に低かった(率比[RR]:0.70[95%信頼区間[CI]:0.61~0.80]、p<0.001、差:-23.66件/100PYE[95%CI:-33.98~-13.33])。同エピソードを発現した患者の割合は、デグルデク群22.5%、グラルギン群31.6%であった(差:-9.1%、95%CI:-13.1~-5.0)。
夜間の症候性低血糖の発現頻度は、デグルデク群55.2件/100PYE、グラルギン群93.6件/100PYEで、デグルデク群が有意に低かった(RR:0.58[95%CI:0.46~0.74]、p<0.001、差:-7.41件/100PYE[95%CI:-11.98~-2.85])。同エピソードを発現した患者の割合は、デグルデク群9.7%、グラルギン群14.7%であった(差:-5.1%、95%CI:-8.1~-2.0)。
維持期において重大な低血糖を発現した患者の割合は、デグルデク群1.6%(95%CI:0.6~2.7)、グラルギン群2.4%(95%CI:1.1~3.7)であった(McNemar検定のp=0.35、リスク差:-0.8%[95%CI:-2.2~0.5])。
なお、全治療期間においても、すべてのおよび夜間の症候性低血糖の発現頻度について、デグルデク群がグラルギン群よりも有意に低かったことが認められた。
(ケアネット)