麻疹・流行性耳下腺炎・風疹の3種混合ワクチン(MMRワクチン)について、米国疾病予防管理センター(CDC)のCristina V. Cardemil氏らが大学生を対象とした検討で、3回接種者では2回接種者よりも流行性耳下腺炎のリスクが低下したことを明らかにした。米国では、小児期にMMRワクチンの2回接種がプログラムされている。しかし、大学生での流行性耳下腺炎のアウトブレイクがたびたび報告されており、2015年夏~秋にはアイオワ大学で集団発生が起きた。本報告は、そのアウトブレイクの後半に保健当局者がMMRワクチン接種キャンペーンを呼びかけ、3回目の接種に応じた学生の有効性を2回目の接種時期からの年数で補正を行い検討した結果で、2回目の接種時期が、今回のアウトブレイクよりも13年以上前であった学生は、流行性耳下腺炎のリスクが高かったことも明らかにした。これまで、MMRワクチンの3回投与が流行性耳下腺炎のアウトブレイクを制御するかについては明らかになっていなかった。NEJM誌2017年9月7日号掲載の報告。
2回目接種からの年数で補正後、接種回数別にワクチンの有効性を評価
アイオワ大学では2015~16年の1学年の間に、学生2万496例のうち259例が流行性耳下腺炎と診断された。研究グループはFisher正確確率検定を用いて、MMRワクチンの接種状況と2回目接種からの年数に基づく未補正発生率を比較した。多変量時間依存性Cox回帰モデルを用いて、2回目の接種からの年数で補正後、接種回数別(3回 vs.2回、2回 vs.未接種)にワクチンの有効性を評価した。
3回接種群で発生率が有意に低下
アウトブレイク前にMMRワクチン接種を2回以上受けていた学生は、98.1%であった。アウトブレイク中に3回目の接種を受けたのは4,783例であった。
発生率は、3回接種を受けた学生(1,000人当たり6.7例)が2回接種の学生(同14.5例)よりも有意に低かった(p<0.001)。また、2回目接種を、アウトブレイク前2年以内に受けていた学生と比べて、13~15年前に受けていた学生では、流行性耳下腺炎のリスクは9.1倍高かった。16~24年前に受けていた学生では14.3倍高かった。
3回目のワクチン接種後28日時点で、流行性耳下腺炎のリスクは2回接種の学生よりも78.1%低下していた(補正後ハザード比:0.22、95%信頼区間:0.12~0.39)。
2回接種 vs.未接種の比較検討において、2回目の接種から今回のアウトブレイクまでの年月が経っているほど、ワクチンの有効性が低下していることが示された。
著者は、「結果は、MMRワクチンの3回接種キャンペーンが流行性耳下腺炎アウトブレイクの制御を改善したことを、また、免疫の減衰がアウトブレイクの拡大に寄与したと思われることを示すものであった」とまとめている。
(ケアネット)