T1/T2の原発浸潤性乳がんで、腋窩リンパ節腫脹なし、1~2個のセンチネルリンパ節転移を認める女性において、センチネルリンパ節郭清のみを受けた群は、腋窩リンパ節郭清群に対して、10年全生存率が非劣性であった。米国・シダーズ・サイナイ医療センターのArmando E. Giuliano氏らが、第III相無作為化試験「American College of Surgeons Oncology Group Z0011(ACOSOG Z0011)」の長期フォローアップの結果を報告した。ACOSOG Z0011の最初の結果は、2005年に追跡期間中央値6.3年時点で報告されているが、被験者の大部分がエストロゲン受容体陽性で長期的な再発が懸念されることから、フォローアップの延長が行われた。JAMA誌2017年9月12日号掲載の報告。
センチネルリンパ節郭清のみ vs.腋窩リンパ節郭清を長期にわたり追跡
ACOSOG Z0011は、115施設(大学または地域の医療センター)で1999年5月~2004年12月に患者を登録し、センチネルリンパ節転移を有する患者において、乳房温存およびセンチネルリンパ節郭清(SLND)のみを受けた群が、腋窩リンパ節郭清(ALND)を受けた群に対して非劣性であるかを検討した。
研究グループは、10年全生存率の非劣性を調べるため、2015年9月29日時点のフォローアップデータを解析した。適格患者は、clinical T1またはT2浸潤性乳がんで、腋窩リンパ節腫脹なし、1~2個のセンチネルリンパ節転移を認める女性であった。全患者とも乳腺腫瘤摘出と術後の接線全乳房照射およびアジュバント療法が予定されていた。
主要アウトカムは全生存率(OS)で、ハザード比(HR)の非劣性のマージンは1.3であった。
10年OSは86.3% vs.83.6%、10年無病生存率、10年領域再発率も有意差なし
891例(年齢中央値55歳)が無作為化を受け(SLNDのみ群446例、ALND群445例)、試験を完遂したのは856例(96%)であった。
追跡期間中央値9.3年(四分位範囲:6.93~10.34)において、10年OSは、SLNDのみ群86.3%、ALND群83.6%であった(HR:0.85[片側95%信頼区間[CI]:0~1.16]、非劣性のp=0.02)。また10年無病生存率は、SLNDのみ群80.2%、ALND群78.2%であった(HR:0.85[95%CI:0.62~1.17]、p=0.32)。
5~10年の間に、領域再発がSLNDのみ群で報告されたが1例であった(ALND群なし)。10年領域再発率について、2群間で有意な差はなかった。
著者は、「10年アウトカムをベースとする集団において、腋窩リンパ節郭清をルーチン行うことは支持されない所見が示された」とまとめている。