2型糖尿病患者に対し、心血管疾患の病歴の有無を問わず、通常治療にエキセナチド徐放剤(商品名:ビデュリオン)を追加投与した試験において、安全性についてはプラセボに対して非劣性を示し、心血管イベントの発生リスクに対する有効性については統計上の有意差は示されなかった。英国・チャーチル病院のRury R. Holman氏らが、1万4,752例の2型糖尿病患者を対象に行った無作為化プラセボ対照二重盲検試験「EXSCEL試験」の結果で、NEJM誌2017年9月14日号で発表された。
35ヵ国、687ヵ所で試験
研究グループは35ヵ国、687ヵ所の医療機関を通じて、心血管疾患既往の有無を問わず、2型糖尿病患者1万4,752例を集めて無作為に2群に分け、一方にはエキセナチド徐放剤2mgを週1回皮下注射で投与し、もう一方にはプラセボを投与した。
主要アウトカムは、心血管死と非致死的心筋梗塞または非致死的脳卒中のいずれかの初回発生の複合であった。
エキセナチド週1回投与は、安全性に関してはプラセボに対し非劣性を、有効性に関しては優越性を示すとの主要仮説を立てて評価した。
追跡期間中央値3.2年、複合アウトカム発生率は有意差なし
被験者1万4,752例中、心血管疾患既往者は73.1%に当たる1万782例、試験の追跡期間中央値は3.2年(四分位範囲:2.2~4.4)だった。
主要複合アウトカムの発生率は、エキセナチド群11.4%(7,356例中839例、3.7件/100人年)、プラセボ群12.2%(7,396例中905例、4.0件/100人年)と、両群で有意差はなかった(ハザード比:0.91、95%信頼区間:0.83~1.00)。
intention-to-treat解析の結果、エキセナチド週1回投与は、安全性に関してはプラセボに対して非劣性を示したが(p<0.001)、有効性に関する優越性は示されなかった(p=0.06)。
心血管死、致死的・非致死的心筋梗塞、致死的・非致死的脳卒中、心不全による入院、急性冠症候群による入院、急性膵炎、膵臓がん、甲状腺髄様がん、重篤な有害事象のいずれの発生率についても、両群で有意差は認められなかった。
(医療ジャーナリスト 當麻 あづさ)