単純性下部尿路感染症(UTI)の女性患者において、ジクロフェナクの使用は抗菌薬の使用を減らすが、ノルフロキサシンと比較して症状軽減に関して劣性であり、腎盂腎炎のリスクを増大させる可能性が、スイス・ベルン大学のAndreas Kronenberg氏らによる無作為化二重盲検非劣性試験の結果で示された。著者は、「選択的な抗菌薬使用の開発と検証を、今後の試験で行うことが必要だ」と述べている。BMJ誌2017年11月7日号掲載の報告。
スイス17施設253例の女性患者を対象にジクロフェナク vs.ノルフロキサシン
研究グループは、単純性下部UTIの女性患者の治療として、非ステロイド性抗炎症薬(NSAID)は抗菌薬に対し非劣性なのか、またNSAIDの処方が外来治療における抗菌薬の処方を減らす好機となっているか調べる検討を行った。
スイスの一般診療所17ヵ所で登録した、症候性の単純性下部UTIの女性患者253例を、NSAIDのジクロフェナク投与群(133例)と抗菌薬のノルフロキサシン投与群(120例)に、無作為に割り付けて追跡評価した。
主要アウトカムは、3日目時点(無作為化後72時間、試験薬を最後に服用してから12時間後)で評価した症状の軽減。事前規定の主要副次アウトカムは、30日時点までのあらゆる抗菌薬(試験薬のノルフロキサシンやホスホマイシンなど)の使用であった。intention to treat解析で評価した。
ジクロフェナク群の非劣性認められず、同群のみで腎盂腎炎発生
3日目に症状軽減が認められたのは、ジクロフェナク群72/133例(54%)、ノルフロキサシン群96/120例(80%)であった(リスク差:27%、95%信頼区間[CI]:15~38、非劣性のp=0.98、優越性のp<0.001)。症状回復までの期間中央値は、ジクロフェナク群4日、ノルフロキサシン群2日であった。
ジクロフェナク群の82例(62%)、ノルフロキサシン群の118例(98%)が、30日時点までに抗菌薬を使用した(リスク差:37%、95%CI:28~46、優越性のp<0.001)。また、ノルフロキサシン群では認められなかったが、ジクロフェナク群では6例(5%)が腎盂腎炎の臨床診断を受けた(p=0.03)。
(ケアネット)