米国における疾病負荷について、州レベルで格差が認められることが、米国・ワシントン大学のChristopher J. L. Murray氏らUS Burden of Disease Collaboratorsによる検討で明らかにされた。特異的疾患やリスク因子(薬物使用障害、BMI高値、貧しい食生活、空腹時高血糖、アルコール使用障害など)が増大しており、さらなる注意喚起が必要だという。米国の健康アウトカム調査は複数あるが、州ごとの健康評価を統合したものはなかったという。JAMA誌2018年4月10日号掲載の報告。
州レベルの平均余命や健康寿命、DALYなどを比較
研究グループは、世界疾病負荷(GBD)研究の結果を用いて、1990~2016年の州レベルの疾病負荷、負傷、リスク因子の傾向を調べた。公表されている試験および入手可能なデータソースを系統的に解析し、年齢・性・地理・年別に疾病負荷を推算した。
333の要因、84のリスク因子について、有病率、罹患率、死亡率、平均余命、健康寿命(HALE)、早期死亡による損失生存年数(YLL)、障害生存年数(YLD)、障害調整生命年(DALY)を95%不確実性区間(UI)とともに求めて評価した。
タバコ、BMI高値、アルコール・薬物使用がDALYリスクの3大要因
米国の総死亡率は、1990年は10万人当たり745.2(95%UI:740.6~749.8)であったが、2016年は同578.0(569.4~587.1)へ低下していた。同期間に20~55歳の死亡が、31州およびワシントンD.C.で減少した可能性があった。
2016年において、平均余命はハワイ州が最も長く(81.3年)、ミシシッピ州が最も短く(74.7年)、6.6年の差があった。健康寿命が最も長かったのはミネソタ州で(70.3年)、ウェストバージニア州が最も短く(63.8年)、その差は6.5年であった。
1990~2016年の米国におけるDALYの主な要因は、虚血性心疾患と肺がんであった。3番目は、1990年では腰痛だったが、2016年ではCOPDであった。また、オピオイド使用障害は、1990年ではDALYの11番目の要因であったが、2016年には7番目になっていた(平均変化74.5%[95%UI:42.8~93.9])。
2016年において、タバコの消費、BMI高値、貧しい食生活、アルコールおよび薬物使用、空腹時高血糖、高血圧の6つのリスクが、DALYへのリスク寄与度5%以上であった。
全米各州でDALYのリスク要因のトップは、タバコの消費(32州)、BMI高値(10州)、アルコールおよび薬物使用(8州)の3つで占められた。
(ケアネット)