英国・オックスフォード大学のKathryn S. Taylor氏らは、外来でのポイントオブケアによるナトリウム利尿ペプチド(NP)検査の慢性心不全の診断精度について、系統的レビューとメタ解析による評価を行った。その結果、プライマリケアにおいて感度0.99、特異度0.60であることが示されたが、「現状ではプライマリケア試験および検査値データが不十分で、方法論的な限界もある。大規模なプライマリケア試験を行い、ポイントオブケアNP検査の役割を評価するとともに、疑い例を含む慢性心不全患者のケアを改善するための適切な閾値を明らかにする必要がある」という。BMJ誌2018年5月21日号掲載の報告。
系統的レビューとメタ解析で、BNPまたはNT-proBNP診断精度を評価
研究グループは、2017年3月31日時点でOvid MEDLINE、Cochrane Central Register of Controlled Trials、Cochrane Database of Systematic Reviewsなどのデータソースで、ポイントオブケアNP検査を評価した試験を検索した。
適格試験の条件は、ヒトにおいて行われた試験で、NP検査(B型ナトリウム利尿ペプチド[BNP]検査またはN末端プロB型ナトリウム利尿ペプチド[NT-proBNP])と、あらゆる至適参照標準(心エコー検査、臨床診察、または両者を合わせたものを含む)を比較していたものとした。報告データが、2×2表の作成に不十分なものは除外した。論文の言語については制限しなかった。
BNP(閾値100pg/mL):感度0.95、NT-proBNP(閾値135pg/mL):感度0.99
39試験・42報が条件を満たし、37試験・40報が解析に包含された。37試験のうち、30試験がBNPポイントオブケアを評価したもので、7試験がNT-proBNPポイントオブケアを評価したものであった。
外来設定で行われた試験は15件で、慢性心不全の有病率が低い集団で設定されたものだった。プライマリケアで行われた試験は5件だった。
Triage測定装置を用いてBNP値を測定(閾値>100pg/mL)したポイントオブケアの感度は概して高く、100pg/mLでの感度は0.95(95%信頼区間[CI]:0.90~0.98)であった。同閾値<100pg/mLでの感度は0.46~0.97、特異度は0.31~0.98であった。
プライマリケア試験におけるNT-proBNP検査の結果は、閾値135pg/mLで、感度0.99(0.57~1.00)、特異度0.60(0.44~0.74)であった。ポイントオブケアBNPとNT-proBNPの間に統計的な診断精度の差はみられなかった。
(ケアネット)