中国で行われたコミュニティベースの長期前向き試験で、80歳以上の超高齢者では、収縮期血圧値と全死因死亡リスクとの関連はUカーブを示し、収縮期血圧値が129mmHgで同リスクが最低であることが示された。中国疾病管理予防センターのYue-Bin Lv氏らが、同国22省に居住する80歳以上4,658例を対象に行った試験で明らかにし、BMJ誌2018年6月5日号で発表した。Uカーブの関連結果については、収縮期血圧値107~154mmHgを基準に、同値よりも高値では心血管死リスクの上昇が、低値では非心血管死リスクの上昇が関与している可能性があるという。著者は「今回の結果は、超高齢者では高血圧治療が再び重要になり、同年齢群のガイドラインを整備する重要性を強調するものである」とまとめている。
3年間追跡し、血圧値などと死亡リスクの関連を検証
研究グループは2011~14年にかけて、80歳以上の4,658例を対象に、縦断的寿命調査を行った。被験者の平均年齢は92.1歳だった。
主要評価項目は、3年追跡時の全死因死亡率および死因別死亡率だった。血圧値や動脈圧などと、全死因死亡リスク、死因別リスクとの関連を検証した。
収縮期血圧154mmHg超では心血管死リスクは1.5倍に
追跡期間中の死亡は1,997例だった。収縮期血圧値、平均動脈圧、脈圧と死亡率はUカーブの関連を示し、それぞれ143.5mmHg、101mmHg、66mmHgで最も死亡リスクが低かった。共変量補正後、収縮期血圧値のみで死亡率とのUカーブの関連が示され、129mmHgで最も死亡リスクが低かった。
129mmHgを基点に、収縮期血圧値が107mmHgより低値では全死因死亡リスクは減少した(ハザード比[HR]:75mmHgの1.47[95%信頼区間[CI]:1.01~2.17]から106mmHgの1.08[1.01~1.17]に低下)。一方、154mmHg超では、同値が上がるにつれて全死因死亡リスクの増大が認められた(HR:155mmHgの1.08[1.01~1.17]から190mmHgの1.27[1.02~1.58]に上昇)。
死因別分析では、収縮期血圧が中程度(107~154mmHg)に比べ、154mmHg超では心血管死リスクが増大した(補正後HR:1.51、95%CI:1.12~2.02)。一方で107mmHg未満では、非心血管死リスクの増大がみられた(同:1.58、1.26~1.98)。
(医療ジャーナリスト 當麻 あづさ)