転移を有する腎細胞がん患者において、スニチニブ単独療法は、腎切除後にスニチニブ投与を受ける標準治療に対し、非劣性であることが示された。フランス・ジョルジュ・ポンピドゥー欧州病院のArnaud Mejean氏らによる、第III相の無作為化試験の結果で、NEJM誌オンライン版2018年6月3日号で発表された。この20年の間、転移を有する腎細胞がんの治療は、無作為化試験や大規模後ろ向き試験によって腎切除術が標準とされてきたが、研究グループは、近年の分子標的薬の台頭を受けて、腎切除術の役割について評価を行った。
標準治療 vs.スニチニブ単独の無作為化試験
試験は、転移を有する腎細胞がんが生検で確認され腎切除術が至適であった患者を、手術を受けその後にスニチニブ投与を受ける(標準治療)群またはスニチニブ投与のみを受ける群に、無作為に1対1に割り付けて行われた。無作為化では、Memorial Sloan Kettering Cancer Center(MSKCC)分類に基づき予後リスク(中または高)による層別化も行った。
スニチニブの投与は、50mg/日を28日間、その後14日間休薬する6週間サイクルで行われた。主要エンドポイントは、全生存期間(OS)であった。
OS中央値がスニチニブ単独群で延長、死亡HRは0.89で非劣性を確認
2009年9月23日~2017年9月8日に、フランス79施設およびその他の欧州の施設から、計450例の患者が登録された(フランス425例、英国14例、ノルウェー10例、スウェーデン1例)。
計画されていた中間解析の時点(2017年12月12日)で、追跡期間中央値50.9ヵ月、男性被験者が大半を占め(74.7%)、intention-to-treat集団(標準治療群226例、スニチニブ単独群224例)の年齢中央値は62歳、56.0%がECOG PSスコア0であった。両群のベースライン特性は均衡がとれており、MSKCC分類に基づく中リスク患者は、標準治療群55.6%、スニチニブ単独群58.5%、高リスク患者はそれぞれ44.4%、41.5%であった。
中間解析の時点で、326例(91.0%ががんに関連)の死亡が観察された。intention-to-treat集団のOS中央値は、スニチニブ単独群(18.4ヵ月、95%信頼区間[CI]:14.7~23.0)が標準治療群(13.9ヵ月、11.8~18.3)に比べて延長が認められた。MSKCCリスクスコアで層別化したOSの解析における死亡に関するハザード比は、0.89(95%CI:0.71~1.10)で、95%CI上限値は非劣性マージン(≦1.20)を満たした。
奏効率や無増悪生存は、両群間で有意な差はみられなかった。有害事象は、両群とも想定内のものであった。
(ケアネット)