四価デング熱ワクチン(CYD-TDV)の有効性について、ワクチン接種前のウイルス曝露者には5年の間、重症型デング熱の発症(virologically confirmed dengue:VCD)やデング熱での入院に対する保護効果が認められたが、非曝露者では、反対に重症型VCDやデング熱による入院のリスクをより高めるとのエビデンスが確認されたという。フランス・サノフィ社サノフィパスツール(ワクチン部門)のSaranya Sridhar氏らが、有効性に関する3試験のデータを再解析し報告した。CYD-TDVの有効性試験では、ワクチン接種を受けた2~5歳児においてデング熱による過剰な入院が観察されていた。NEJM誌オンライン版2018年6月13日号掲載の報告。
有効性に関する3試験のデータを再解析
研究グループは有効性に関する3試験のデータを用いて、ケースコホート研究を行った。ベースラインで収集した検体数に限りがあり、デング熱の血清状態を確認して正確なリスクを推定することができなかったため、デング熱NS1抗原IgG抗体ELISAを開発するとともに、月齢13ヵ月児の血清状態を確認した検体を用いて安全性と有効性の事後解析を行った。
主要解析では、50%プラーク減少中和検査(PRNT
50)によるベースライン測定値(入手できた場合)と、13ヵ月齢の抗NS1アッセイの結果など共変量を用いて補完した力価(入手不可の場合)に基づき確認した、ベースライン血清状態を用いた。
加重Cox回帰法および標的最小損失ベースの推定による、VCD入院、重症型VCD、デング熱抗体有無別の症候性VCDのリスクを推算した。
ウイルス血清陽性者には有効、陰性者にはリスク
デング熱血清反応陰性であった2~16歳児において、VCD入院の5年累積発生率は、ワクチン接種群3.06%、非接種(対照)群1.87%で、データカットオフ時のハザード比(HR)は1.75(95%信頼区間[CI]:1.14~2.70)であった。血清反応陰性の9~16歳児において同発生率は、ワクチン接種群1.57%、対照群1.09%で、HRは1.41(95%CI:0.74~2.68)であった。また、重症型VCDについても同様に、血清反応陰性者では、ワクチン接種群のほうが対照群よりもハイリスクの傾向がみられた。
一方、血清反応陽性の2~16歳児においては、VCD入院の5年累積発生率は、ワクチン接種群0.75%、対照群2.47%で、HRは0.32(95%CI:0.23~0.45)であった。9~16歳児においても各群の同発生率は0.38%、1.88%で、HRは0.21(95%CI:0.14~0.31)であった。重症型VCDについても同様に、血清反応陽性者では、ワクチン接種群のほうが対照群よりも低率であった。
(ケアネット)