中等症~重症の局面型乾癬患者において、risankizumabはプラセボおよびウステキヌマブと比較し優れた有効性を示したことが認められた。治療下で発現した有害事象(TEAE)プロファイルは、治療群間で類似しており、新たな安全上の所見はみられなかった。米国・ウィスコンシン医科大学のKenneth B. Gordon氏らが、乾癬を対象としたrisankizumabの2件の第III相無作為化二重盲検臨床試験「UltIMMa-1試験」「UltIMMa-2試験」の結果を報告した。risankizumabは、インターロイキン(IL)-23のp19サブユニットに結合するヒト化IgG1モノクローナル抗体で、乾癬性炎症に関わるIL-23を選択的に阻害する。Lancet誌オンライン版2018年8月7日号掲載の報告。
中等症~重症の乾癬患者合計約1,000例で、プラセボおよびウステキヌマブと比較
UltIMMa-1試験とUltIMMa-2試験は、オーストラリア、オーストリア、ベルギー、カナダ、チェコ、日本、メキシコ、ポーランド、ポルトガル、韓国、スペイン、フランス、ドイツ、米国の計139施設で実施された。
適格患者は、18歳以上の中等症~重症の慢性局面型乾癬患者で、体重およびTNF阻害薬治療歴で層別化し、risankizumab 150mg群、ウステキヌマブ(体重に応じて45mgまたは90mg)群、プラセボ群に3対1対1の割合で無作為に割り付けられた。
16週間の二重盲検治療期(パートA)の後、プラセボ群にはrisankizumab 150mgを投与し、他群は無作為化された治療を継続した(パートB、二重盲検、16~52週)。パートAでは0週と4週時に、パートBでは16、28、40週時に治験薬を皮下投与した。
主要評価項目は、16週時のPASIスコアが90%以上改善した患者の割合(PASI 90)と、医師による静的総合評価(sPGA)スコアが「消失=0」または「ほぼ消失=1」を達成した患者の割合であった(欠測値はノンレスポンダーとして補完)。すべての有効性の解析はintention-to-treat集団で実施された。
2016年2月24日~8月31日にUltIMMa-1試験で506例(risankizumab群304例、ウステキヌマブ群100例、プラセボ群102例)が、2016年3月1日~8月30日にUltIMMa-2試験で491例(risankizumab群294例、ウステキヌマブ群99例、プラセボ群98例)が無作為に割り付けられた。
UltIMMa-1/UltIMMa-2両試験において、すべての主要評価項目を達成
主要評価項目は、両試験において達成された。16週時のPASI 90は、UltIMMa-1試験でrisankizumab群75.3%、プラセボ群4.9%(プラセボ補正後群間差:70.3%、95%信頼区間[CI]:64.0~76.7)、ウステキヌマブ群42.0%(ウステキヌマブ補正後群間差:33.5%、95%CI:22.7~44.3)であり、UltIMMa-2試験でそれぞれ74.8%、2.0%(プラセボ補正後群間差:72.5%、95%CI:66.8~78.2)、および47.5%(ウステキヌマブ補正後群間差:27.6%、95%CI:16.7~38.5%)であった(両試験とも対プラセボおよびウステキヌマブのp<0.0001)。
また、16週時のsPGA 0/1達成率は、UltIMMa-1試験でrisankizumab群87.8%、プラセボ群7.8%(プラセボ補正後群間差:79.9%、95%CI:73.5~86.3)、ウステキヌマブ群63.0%(ウステキヌマブ補正後群間差:25.1%、95%CI:15.2~35.0)であり、UltIMMa-2試験でそれぞれ83.7%、5.1%(プラセボ補正後群間差:78.5%、95%CI:72.4~84.5)、および61.6%(ウステキヌマブ補正後群間差:22.3%、95%CI:12.0~32.5)であった(両試験とも対プラセボおよびウステキヌマブのp<0.0001)。
両試験におけるTEAE発現頻度は、risankizumab群(パートA:UltIMMa-1試験49.7%、UltIMMa-2試験45.6%、パートB:それぞれ61.3%、55.7%)、プラセボ群(パートA:51.0%、45.9%)、ウステキヌマブ群(パートA:50.0%、53.5%、パートB:66.7%、74.5%)、プラセボからrisankizumabへの切り替え群(パートB:67.0%、64.9%)で類似していた。
(医学ライター 吉尾 幸恵)