溶出ステント、シロリムスとエベロリムスの5年の評価/Lancet

提供元:ケアネット

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公開日:2018/09/06

 

 超薄型ストラット生分解性ポリマー・シロリムス溶出ステント(Orsiro)は、薄型ストラット耐久性ポリマー・エベロリムス溶出ステント(Xience)と比べ、5年時点の標的病変不全発生リスクは同等であることが、スイス・ベルン大学のThomas Pilgrim氏らによる多施設共同無作為化非劣性単盲検試験「BIOSCIENCE」の結果、示された。一方で、OrsiroはXienceに比べ全死因死亡および非心血管死が有意に高かったことから、著者は「試験を継続し、注意深く観察する必要がある」と述べている。同試験では、1年時点の安全性・有効性アウトカムについて、OrsiroはXienceに対し非劣性であることが示されていた。Lancet誌オンライン版2018年8月28日号掲載の報告。

標的血管起因MI、臨床的症状による標的病変再血行再建術を比較

 BIOSCIENCEは、慢性安定冠動脈疾患または急性冠症候群の患者における、生分解性ポリマー・シロリムス溶出ステントと耐久性ポリマー・エベロリムス溶出ステントの安全性と有効性を比較した試験。

 今回、研究グループは、同試験の主要臨床アウトカムであった標的病変不全(心臓死、標的血管起因の心筋梗塞、臨床的症状による標的病変再血行再建術の複合)の、最終5年時評価(intention-to-treat解析)を行った。

主要評価は同等だったが、全死因死亡率に有意差

 2012年3月1日~2013年5月31日に登録された2,119例のうち、2,008例(95%)が5年間の追跡を完了した。

 標的病変不全が認められたのは、シロリムス溶出ステント群198例(累積発生率:20.2%)、エベロリムス溶出ステント群189例(同:18.8%)だった(率比[RR]:1.07、95%信頼区間[CI]:0.88~1.31、p=0.487)。

 一方、全死因死亡率については、シロリムス溶出ステント群14.1%に対し、エベロリムス溶出ステント群10.3%と、シロリムス溶出ステント群が有意に高率だった(RR:1.36、95%CI:1.06~1.75、p=0.017)。同リスク増加の主な要因は、非心血管死の増加だった(2.7 vs.1.3%、RR:2.03、95%CI:1.04~3.95、p=0.037)。

 なお、5年時点における確認された血栓症の累積発生率は、両群ともに1.6%と同等だった(RR:1.02、95%CI:0.51~2.05、p=0.950)。

(医療ジャーナリスト 當麻 あづさ)