医師の年収、男性多い職場ほど男女差も大きい/BMJ

提供元:ケアネット

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公開日:2020/08/14

 

 非外科専門医および外科専門医のいずれにおいても、所得の性差を説明しうる因子を詳細に調整した後でさえ、男性医師の割合が高い職場では年収の性差が大きいことが明らかにされた。米国・ランド研究所のChristopher M. Whaley氏らが、医師の職場の男女構成によって医師の所得に男女で違いがあるかを調査した、後ろ向き観察研究の結果を報告した。医師の所得に男女差があることはよく知られているが、医師の職場の多様性と所得の性差との関連はこれまで評価されてこなかったという。BMJ誌2020年7月30日号掲載の報告。

医師約1万9,000人を対象に調査

 研究グループは、医師専用のオンラインプラットフォームのDoximity、およびIQVIAが提供しているSK&Aデータベースを用い、2014~18年の医師の所得と、職場における男性医師の割合について調査した。
 対象は外来9,848施設の医師1万8,802人で、職場を男性医師の割合(≦50%、>50~75%、>75~90%、>90%)で層別化し、医師の専門性、経験年数、労働時間、臨床作業負荷量、診療のタイプおよび地域について多変量調整後の、職場の男女構成に関連する医師の所得の性差について解析した。

非外科専門医、外科専門医とも年収に男女差あり

 非外科専門医1万1,490人において、年収の補正後絶対性差(男性vs.女性)は、男性医師が50%未満の職場では3万6,604ドル(2万9,663ポンド、3万2,621ユーロ)(95%信頼区間[CI]:2万4,903~4万8,306ドル、相対差:11.7%)であったのに対して、90%以上の職場では9万1,669ドル(95%CI:5万6,587~12万6,571、相対差19.9%)であった(差のp=0.03)。

 外科専門医3,483人でも同様の結果が確認され、年収の補正後絶対性差は、男性医師が50%未満の職場で4万6,503ドル(95%CI:4万2,198~13万5,205、相対差:10.2%)、90%以上の職場では14万9,460ドル(95%CI:8万6,040~21万2,880、相対差:26.9%)であった(差のp=0.06)。

 プライマリケア医3,829人では、職場の男性医師の割合と所得の性差に関連は認められなかった。

 なお著者は、観察研究であり残余交絡の可能性があること、所得は自己報告で、所得データが全国的なものではないことなどを研究の限界として挙げている。

(医学ライター 吉尾 幸恵)