心房細動と超過死亡の関連、45年の長期分析の結果は/BMJ

提供元:ケアネット

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公開日:2020/08/26

 

 心房細動と全死因死亡との関連について、時間的傾向は見いだせないことが、デンマーク・オーフス大学のNicklas Vinter氏らによる検討で明らかにされた。フラミンガム心臓研究(Framingham Heart Study:FHS)の被験者を対象に45年間の関連傾向を分析した結果によるもので、心房細動診断後10年時点での心房細動による平均喪失寿命年数は顕著に改善していたが、心房細動を診断されていない被験者との間には、なお2年間のギャップが残存し続けていることも示された。新規診断の心房細動は死亡ハザード比を増大する。一方で心房細動患者における短期および長期の生存確率が経時的には改善していることが報告されていた。BMJ誌2020年8月11日号掲載の報告。

3期にわたるフラミンガム心臓研究の参加者データを分析

 研究グループは、新規診断の心房細動と死亡との関連について時間的傾向を調べるため、FHS被験者のデータを用いた住民ベースのコホート研究を行った。FHSは米国・マサチューセッツ州のフラミンガム町で、第1期(1972~85年)、第2期(1986~2000年)、第3期(2001~15年)の3回にわたって実施。今回の解析は、各試験期において45~95歳の心房細動歴がない参加者と、各試験期で新規の心房細動(または心房粗動)を診断された参加者を特定して行われた。

 主要アウトカムは全死因死亡。時間的にばらつきのある心房細動と全死因死亡との関連ハザード比(HR)を、時間変化の交絡因子を補正して算出。また、心房細動診断後10年時点で、心房細動診断群と適合参照群の制限付き平均生存期間の差を、交絡因子を補正して算出し、メタ回帰法を用いてHRの線形傾向と、異なる期間における制限付き平均生存期間について検証した。

心房細動診断者の全死因死亡に関するハザード比に時間的傾向はみられず

 各試験期から選定された非心房細動の参加者は、第1期5,671例、第2期6,177例、第3期6,174例であった。一方、新規心房細動を診断された参加者はそれぞれ、305例、596例、468例であった。

 心房細動診断者と非診断者間の全死因死亡に関する補正後HRは、第1期は1.9(95%信頼区間[CI]:1.7~2.2)、第2期は1.4(1.3~1.6)、第3期は1.7(1.5~2.0)であった(傾向のp=0.70)。

 心房細動診断後10年時点での、心房細動診断群と適合参照群の補正後制限付き平均生存期間の差は、31%短縮していた。すなわち、第1期の-2.9年(95%CI:-3.2~-2.5)から、第2期は-2.1年(-2.4~-1.8)に、第3期は-2.0年(-2.3~-1.7)へと短縮していた(傾向のp=0.03)。

(ケアネット)