米国成人、過去20年間の血圧コントロールの状況は?/JAMA

提供元:ケアネット

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公開日:2020/09/25

 

 米国成人集団を代表するよう補正された一連の横断的調査の結果、血圧コントロール良好者の割合は、1999/2000年~2007/08年にかけては増加していたが、2007/08年~2013/14年は有意な変化はみられず、2013/14年以降は減少傾向にあることが明らかにされた。血圧コントロールは心血管疾患を減少することから、米国・アラバマ大学のPaul Muntner氏らは、過去20年間(1999/2000年~2017/18年)の高血圧の米国成人におけるコントロール状況の変化を調べる検討を行った。JAMA誌オンライン版2020年9月9日号掲載の報告。

「全米国民健康・栄養調査」の10回分のデータを解析

 検討は、米国成人を代表するよう重み付けされた「全米国民健康・栄養調査」の逐次横断研究の、1999/2000年~2017/18年の10回分のデータを用いて行われた。

 同データから、高血圧症(収縮期140mmHg以上、拡張期90mmHg以上と定義)を有するか、降圧薬の使用歴のある18歳以上1万8,262例を包含して解析を行った。最終データの収集は2018年。

 平均血圧を3回測定にて算出し、血圧コントロールの主要アウトカムは、収縮期血圧140mmHg未満、拡張期血圧90mmHg未満と定義した。

 解析に包含されたのは5万1,761例であった。平均(SD)年齢は48(19)歳、2万5,939例(50.1%)が女性、人種による内訳は、白人43.2%、黒人21.6%、アジア系5.3%、ヒスパニック系26.1%であった。

2013/14年以降、血圧コントロール良好者の比率は低下の傾向

 高血圧と定義された成人1万8,262例において、血圧コントロール良好者の年齢補正後推定割合は、1999/2000年の31.8%(95%信頼区間[CI]:26.9~36.7)から2007/08年は48.5%(45.5~51.5)へと増加していた(傾向のp<0.001)。その後は安定的に推移し、2013/14年は53.8%(48.7~59.0)であったが(傾向のp=0.14)、以降は低下し、2017/18年は43.7%(40.2~47.2)であった(傾向のp=0.003)。

 2015~18年の血圧コントロール良好者の割合を年齢群別に見ると、18~44歳群と比較して、45~64歳群はより多い傾向が(49.7% vs.36.7%、多変量補正後有病率比:1.18[95%CI:1.02~1.37])、75歳以上群はより少ないことが推定された(37.3% vs.36.7%、0.81[0.65~0.97])。人種別に見ると、非ヒスパニック黒人は、白人と比べて血圧コントロール良好者の割合が低い傾向が高いと推定された(41.5% vs.48.2%、0.88[0.81~0.96])。

 血圧コントロール良好者の割合は、民間保険(48.2%)、メディケア(53.4%)、メディケア・メディケイド以外の政府系健康保険(43.2%)の加入者で多く、一方で健康保険未加入者(24.2%)は少ない傾向がみられた(多変量補正後有病率比はそれぞれ1.40[95%CI:1.08~1.80]、1.47[1.15~1.89]、1.36[1.04~1.76])。

 また、かかりつけ医療施設(usual health care facility)を持つ集団のほうが、持たない集団と比べて血圧コントロール良好者の割合が多い傾向がみられた(48.4% vs.26.5%、多変量補正後有病率比:1.48[95%CI:1.13~1.94])。また、過去1年間に医療サービスを利用した群のほうが、利用しなかった群と比べて血圧コントロール良好者の割合が多い傾向がみられた(49.1% vs.8.0%、5.23[2.88~9.49])。

(ケアネット)

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コメンテーター : 有馬 久富( ありま ひさとみ ) 氏

福岡大学医学部 衛生・公衆衛生学 教授

J-CLEAR会員