高血圧や2型DM合併の肥満、オンラインプログラム+PHMが有効/JAMA

提供元:ケアネット

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公開日:2020/11/16

 

 高血圧または2型糖尿病を有する過体重/肥満の患者では、プライマリケア施設による集団健康管理(population health management:PHM)とオンライン体重管理プログラムを組み合わせたアプローチは、オンラインプログラム単独および通常治療単独と比較して、12ヵ月後の減量効果が、差は小さいものの統計学的に有意に優れることが、米国・ブリガム&ウィメンズ病院のHeather J. Baer氏らの検討で示された。研究の成果は、JAMA誌2020年11月3日号で報告された。わずかな体重減少(たとえば3~5%)であっても、重要な健康上の利益をもたらす可能性があることから、米国の診療ガイドラインでは、肥満および過体重の患者の生活様式への介入や助言が推奨されているが、プライマリケア医は時間の制約や研修、医療システムが原因で、患者と体重に関する話し合いをしないことが多いという。また、オンラインプログラムはプライマリケアにおいて効果的で、費用対効果が優れる可能性が示されているが、日常診療での有効性や拡張性は不明とされる。

米国の24の診療所が参加した3群クラスター無作為化試験

 本研究は、PHMとオンライン体重管理プログラムの併用による介入の減量効果を、オンラインプログラム単独および通常治療単独と比較する3群クラスター無作為化試験であり、米国の15のプライマリケア施設(合計24の診療所、約170人のプライマリケア医)が参加し、2016年7月~2017年8月の期間に患者登録が行われた(患者中心アウトカム研究所[PCORI]の助成による)。

 対象は、年齢20~70歳、プライマリケア施設を受診予定で、BMIが27~40であり、高血圧または2型糖尿病の診断を受けている患者であった。通常治療群には、体重管理に関する一般的な情報が郵送された。オンラインプログラム単独群と併用介入群の参加者は、BMIQと呼ばれるオンラインプログラムに登録された。併用介入群は、さらに体重に関連するPHMを受けたが、これにはオンラインプログラムの進捗状況を監視し、定期的にアウトリーチを行うプライマリケア施設の非臨床系の職員による支援が含まれた。

 主要アウトカムは、12ヵ月の時点における電子健康記録(EHR)に記載された数値に基づく体重の変化とした。副次アウトカムは18ヵ月時の体重変化であった。

併用介入群の約3分の1が5%以上の減量を達成

 3つの群にそれぞれ8つの診療所が割り付けられた。840例(平均年齢59.3[SD 8.6]歳、女性60%、白人76.8%)が登録され、通常治療群は326例、オンラインプログラム単独群は216例、併用介入群は298例であった。このうち732例(87.1%)で12ヵ月後の体重が記録されており、残りの患者の欠損データは多重代入法で補完された。ベースラインの平均体重はそれぞれ92.3kg、91.4kg、92.1kgだった。

 12ヵ月の時点における体重の変化の平均値は、通常治療群が-1.2kg(95%信頼区間[CI]:-2.1~-0.3)、オンラインプログラム単独群が-1.9kg(-2.6~-1.1)、併用介入群は-3.1kg(-3.7~-2.5)であり、有意な差が認められた(p<0.001)。併用介入群と通常治療群の体重変化の差は-1.9kg(97.5%CI:-2.9~-0.9、p<0.001)、併用介入群とオンラインプログラム単独群の体重変化の差は-1.2kg(95%CI:-2.2~-0.3、p=0.01)であった。

 また、12ヵ月時の体重の変化の割合は、通常治療群が-1.4%(95%CI:-2.3%~-0.6%)、オンラインプログラム単独群が-1.9%(-2.8~-1.0)、併用介入群は-3.0%(-3.8~-2.1)であった(p<0.001)。12ヵ月時に5%以上の減量を達成した患者の割合は、それぞれ14.9%、20.8%、32.3%だった(p<0.001)。

 18ヵ月の時点における体重変化の平均値は、通常治療群が-1.9kg(95%CI:-2.8~-1.0)、オンラインプログラム単独群が-1.1kg(-2.0~-0.3)、併用介入群は-2.8kg(-3.5~-2.0)であり、有意差がみられた(p<0.001)。併用介入群と通常治療群の体重変化の差は-0.9kg(-1.9~0.2、p=0.10)、併用介入群とオンラインプログラム単独群の体重変化の差は-1.6kg(-2.7~-0.5、p=0.003)であった。

 著者は、「これらの知見の一般化可能性、拡張性、持続性を理解するために、さらなる研究を要する」としている。

(医学ライター 菅野 守)