持続性咽喉頭症状を呈する患者に対するプロトンポンプ阻害薬(PPI)治療にはベネフィットがないことが、英国・Freeman HospitalのJames O'Hara氏らによる多施設共同二重盲検無作為化プラセボ対照試験の結果、示された。評価に用いたreflux symptom index(RSI)のPPI群とプラセボ群のスコアは、治療16週後およびフォローアップ12ヵ月時点で同等であった。一般集団の半数近くが咽喉頭のしこり感を気に掛けており、咽喉頭症状は1次医療から2次医療への紹介の一般的な理由になっている。英国の1次医療および2次医療では、咽喉頭症状には経験的治療としてPPIが広く処方されているが、これまで公表されている咽喉頭症状に対するPPI治療のメタ解析は、包含されている試験の規模が小さく、結果は限定的であったという。BMJ誌2021年1月7日号掲載の報告。
英国8ヵ所の耳鼻咽喉外来クリニックでプラセボ対照無作為化試験
試験はプラグマティックにて、英国8ヵ所の耳鼻咽喉外来クリニックで行われた。
18歳以上の持続性咽喉頭症状を呈する患者346例を、参加施設と症状のベースライン重症度(軽症または重症)によって、盲検下にて無作為に、ランソプラゾール群(30mgを1日2回、172例)またはプラセボ群(174例)に割り付け追跡評価した。
主要アウトカムは、RSI総スコアを用いて16週時点で評価した症候性反応であった。副次アウトカムは、12ヵ月時点の症候性反応のほか、QOLおよび咽喉頭形態などであった。
16週時点、12ヵ月時点のRSIスコアは同等
当初1,427例が適格スクリーニングを受け、346例が登録された。平均年齢は52.2歳(SD 13.7)、196例(57%)が女性で、162例(47%)が重症であった。これらの特性は、治療群間で平均化された。
主要解析は、主要アウトカムの評価(14~20週の間)を完了した220例を対象に行われた。平均RSIスコアは、ベースラインではランソプラゾール群22.0(95%信頼区間[CI]:20.4~23.6)、プラセボ群21.7(20.5~23.0)と類似しており、16週時点ではそれぞれ17.4(15.5~19.4)、15.6(13.8~17.3)と、両群ともに改善(スコアの低下)が認められ、治療群間の統計学的有意差(ベースライン重症度で補正後)はみられなかった(推定群間差:1.9ポイント、95%CI:-0.3~4.2、p=0.096)。
副次アウトカムについても、ランソプラゾールのプラセボに対するベネフィットは示されなかった。12ヵ月時点のRSIスコアは、ランソプラゾール群16.0(95%CI:13.6~18.4)、プラセボ群13.6(11.7~15.5)であった(推定群間差:2.4ポイント、95%CI:-0.6~5.4)。
(ケアネット)