ziltivekimab、中等~重度CKDでhs-CRP値を抑制/Lancet

提供元:ケアネット

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公開日:2021/06/01

 

 残存炎症リスクを有する中等度~重度の慢性腎臓病(CKD)の患者において、インターロイキン(IL)-6リガンドを標的とする完全ヒト型モノクローナル抗体ziltivekimabはプラセボと比較して、炎症マーカーである高感度C反応性蛋白(hs-CRP)値を有意に抑制することが、米国・ブリガム&ウィメンズ病院のPaul M. Ridker氏らが実施した「RESCUE試験」で示された。Lancet誌オンライン版2021年5月17日号掲載の報告。

3つの用量を評価する無作為化プラセボ対照第II相試験

 本研究は、米国の40施設が参加した二重盲検無作為化プラセボ対照第II相試験であり、2019年6月~2020年1月の期間に患者登録が行われた(Novo Nordiskの助成による)。

 対象は、年齢18歳以上、中等度~重度(ステージ3~5)のCKD(CKD-EPI式による推算糸球体濾過量[eGFR]>10~<60mL/分/1.73m2)で、残存炎症リスク(hs-CRP≧2mg/L)を有する患者であった。

 被験者は、ziltivekimab 7.5mg、同15mg、同30mgまたはプラセボを皮下投与する群に、1対1対1対1の割合で無作為に割り付けられ、24週の投与が行われた。

 主要アウトカムは、hs-CRPのベースラインから12週までの変化率とされた。主解析はintention-to-treat集団で行われた。

忍容性も良好

 264例が登録され、4つの群に66例ずつが割り付けられた。全体の年齢中央値は68歳(IQR:60.0~74.5)で、49%が女性であった。ベースライン時のCKDのステージは、3aが29%、3bが41%、4が23%、5が6%であった。hs-CRP中央値は5.75mg/L、IL-6中央値は5.55pg/mL、eGFR中央値は36.83mL/分/1.73m2だった。

 12週時のhs-CRP中央値は、ziltivekimab 7.5mg群で77%、15mg群で88%、30mg群で92%それぞれ低下したのに対し、プラセボ群では4%の低下であった。ziltivekimab群とプラセボ群のhs-CRP変化率の群間差中央値は、7.5mg群が-66.2%、15mg群が-77.7%、30mg群が-87.8%であり、いずれも有意な差が認められた(すべてp<0.0001)。これらのziltivekimabの効果は、24週の投与期間を通じて安定していた。

 また、ziltivekimab群では、ベースラインから12週までの期間に、フィブリノゲン、血清アミロイドA、ハプトグロビン、分泌型ホスホリパーゼA2、リポ蛋白(a)が、用量依存性に低下した。

 ziltivekimab群は忍容性も良好であり、総コレステロール/HDLコレステロール比に影響を及ぼさず、重篤な注射部位反応や、持続性のGrade3/4の好中球減少、血小板減少は発現しなかった。

 著者は、「将来のアテローム性動脈硬化症の治療では、積極的な脂質低下に加え、自然免疫のIL-1~IL-6経路を阻害する標的化抗炎症療法が取り入れられる可能性がある。今回の第II相試験の有効性と安全性のデータに基づき、CKD、CRP上昇、心血管疾患の患者を対象に、心血管アウトカムに関するziltivekimabの大規模臨床試験を行う予定である」としている。

(医学ライター 菅野 守)