バダデュスタットvs.ダルベポエチン、保存期CKDのMACEへの有効性/NEJM

提供元:ケアネット

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公開日:2021/05/14

 

 保存期慢性腎臓病(NDD-CKD)患者において、バダデュスタットはダルベポエチン アルファと比較し、血液学的有効性に関しては事前に設定した非劣性マージンを満たしたが、主要安全性評価項目である主要有害心血管イベント(MACE)については非劣性マージンを満たさなかった。米国・スタンフォード大学のGlenn M. Chertow氏らが、バダデュスタットの有効性を評価した2件の第III相無作為化非盲検実薬対照非劣性試験の結果を報告した。バダデュスタットは、経口投与の低酸素誘導因子プロリン水酸化酵素(HIF-PH)阻害薬で、HIFを安定化してエリスロポエチンおよび赤血球の産生を刺激することから、腎性貧血の治療薬として開発された。NEJM誌2021年4月29日号掲載の報告。

バダデュスタットの安全性と有効性をダルベポエチンを対照に比較

 研究グループは、赤血球造血刺激因子製剤(ESA)による治療歴がなくヘモグロビン(Hb)値10g/dL未満のNDD-CKD患者、およびESA治療歴がありHb値8~11g/dL(米国)または9~12g/dL(米国以外)のNDD-CKD患者を、バダデュスタット群またはESAダルベポエチン アルファ群に1対1の割合で無作為に割り付けた。

 主要安全性評価項目は、初発のMACE(全死因死亡、非致死的心筋梗塞、非致死的脳卒中の複合)で、2件の試験を統合しtime-to-event解析により評価した。副次安全性評価項目には、拡張MACE(MACE+心不全あるいは血栓塞栓イベントによる入院)などを組み込んだ。

 各試験における有効性に関する主要評価項目および主要副次評価項目は、24~36週および40~52週の2つの評価期間におけるHb値のベースラインからの平均変化量とした。


バダデュスタットは血液学的有効性では非劣性を達成

 2試験において、ESA未治療のNDD-CKD患者1,751例、ESA既治療のNDD-CKD患者1,725例が無作為化された。

 統合解析において、バダデュスタット群(1,739例)のダルベポエチン アルファ群(1,732例)に対するMACEのハザード比は1.17(95%信頼区間[CI]:1.01~1.36)で、バダデュスタットに事前に設定された非劣性マージン1.25を満たさなかった。

 24~36週のHb値の平均変化量のバダデュスタット群とダルベポエチン アルファ群との群間差は、ESA未治療患者で0.05g/dL(95%CI:-0.04~0.15)、ESA既治療患者で-0.01g/dL(95%CI:-0.09~0.07)であり、バダデュスタットに事前に設定した非劣性マージン(-0.75g/dL)を満たした。

(医学ライター 吉尾 幸恵)

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コメンテーター : 栗山 哲( くりやま さとる ) 氏

東京慈恵会医科大学客員教授

医療法人社団 優穂会・三穂クリニック 腎臓高血圧研究所

J-CLEAR評議員