体重減量後の再増加の早さは初期の減量の大きさと関連していたものの、初期の減量の大きさは行動的減量プログラム終了後少なくとも5年間、減量との関連が持続していた。英国・オックスフォード大学のJamie Hartmann-Boyceらが、行動的減量プログラムの特徴とプログラム終了後の体重変化について検証したシステマティックレビューおよびメタ解析の結果を報告した。行動的体重管理プログラムは、肥満成人の治療法として推奨されている。ほとんどの行動的減量プログラムにより短期間で減量できるが、プログラム終了後の体重変化には非常にばらつきがあり、その原因はわかっていなかった。BMJ誌2021年8月17日号掲載の報告。
無作為化試験249件についてシステマティックレビューとメタ解析を実施
研究グループは、臨床試験登録、11の電子データベースおよび引用検索(2019年12月まで)を用い、過体重または肥満成人を対象とした行動的減量プログラムの無作為化試験(プログラム終了時および終了後を含む12ヵ月以上のアウトカムを報告したもの)について解析した。
2人の独立した評価者がスクリーニングし、不一致は議論により解決された。適格基準を満たした臨床試験は5%。評価者の1人がデータを抽出し、別の1人がデータをチェックした。バイアスリスクは、Cochrane's risk of bias tool(version 1)を用いて評価した。
介入群と対照群のプログラム終了後の体重変化率(kg/月、解釈のためkg/年に換算)は、ランダム切片混合モデルを用いて算出し、体重変化率と事前に定義した変数との関連を検証した。
解析対象は249試験(5万9,081例)で、平均追跡期間は2年(最長30年)であった。56%(140件)の試験はバイアスリスクが不明で、21%(52件)が低リスク、23%(57件)が高リスクであった。
プログラム期間中の減量が大きいことや減量に対する報奨金は、体重再増加と関連あり
体重の再増加は、対照群と比較して介入群(0.12~0.32kg/年)のほうが早かったが、群間差は少なくとも5年間維持された。プログラム終了時点での体重が1kg減少するごとに、0.13~0.19kg/年の割合で体重が再増加することが示された。
減量に対する報奨金が、1~1.5kg/年の早さで体重が再増加することと関連していた。食品交換をしないプログラムと比較した場合、部分的な食品交換を含む介入は、体重の早期再増加と関連していたが、プログラム期間中の減量を補正後では関連は確認されなかった。
試験期間外にプログラムへ参加することは、体重再増加の遅延と関連していた。多変量解析の結果、徐々に減少するプログラムでも、相互作用の強さが体重再増加の遅延と関連していたが、点推定値ではその関連性は小さいことが示唆された。その他の特性は、体重再増加の不均一性と関連していなかった。
(医学ライター 吉尾 幸恵)