朝食の摂取は、その習慣の有無にかかわらず、体重減少の戦略としては有効とはいえない可能性があるとの研究結果が、オーストラリア・モナシュ大学のKatherine Sievert氏らの検討で示された。研究の詳細は、BMJ誌2019年1月30日号に掲載された。規則的な朝食の摂取は、低BMIと関連し、体重増加に対する防御因子であることが、多くの観察研究で示唆されている。一方、これまでに得られた朝食摂取に関する無作為化対照比較試験のエビデンスは、一貫性がないという。
規則的朝食摂取と体重の関連をメタ解析で評価
研究グループは、高所得国の住民において、規則的な朝食の摂取が体重の変化およびエネルギー摂取に及ぼす影響を評価する目的で、系統的レビューとメタ解析を行った(研究助成は受けていない)。
医学データベースを用いて、1990~2018年の期間に報告された文献を検索した。また、2018年10月に、世界保健機関(WHO)の国際臨床試験登録プラットフォームの検索ポータルを検索し、未発表および進行中の試験を同定した。
対象は、朝食の摂取と非摂取を比較し、体重またはエネルギー摂取量の評価を行った高所得国の無作為化対照比較試験とした。
2人のレビュアーが個別にデータを抽出し、バイアスのリスクを評価した。変量効果を用いてメタ解析を行った。
試験の質が低く、結果の解釈には注意が必要
日本の1件を含む13件(並行群間比較試験7件、クロスオーバー試験6件)の試験が解析の対象となった。7件は体重の変化を、10件は1日のエネルギー摂取量の評価を行っていた(4件は両方)。
体重変化のメタ解析では、朝食抜きの参加者は朝食摂取者に比べ、わずかだが体重が減少していた(平均差:0.44kg、95%信頼区間[CI]:0.07~0.82)が、試験結果にはある程度の非一貫性(inconsistency)が認められた(I
2=43%)。
また、1日の総エネルギー摂取量のメタ解析では、朝食抜きの参加者は、朝食摂取者に比べ摂取量が少なく(平均差:259.79kcal/日、95%CI:78.87~440.71)、抜いた朝食分のエネルギーを昼食や夕食などの他の食事で補っていないことが示唆された。しかしながら、試験結果には、実質的な非一貫性がみられた(I
2=80%)。
解析対象の試験はすべて、1つ以上のドメインでバイアスのリスクが高いまたは不明であり、平均フォローアップ期間が短かった(体重変化の試験:7週[範囲:2~16週]、エネルギー摂取量の試験:2週[24時間~6週])。試験の質は、ほとんどの試験が低いと判定されたため、結果の解釈には注意を要すると考えられる。
著者は、「成人の体重減少に朝食を推奨する場合は、逆効果となる可能性にも留意する必要がある」と指摘し、「体重管理のアプローチにおける朝食摂取の役割の検討では、今後、質の高い無作為化対照比較試験を行う必要がある」としている。
(医学ライター 菅野 守)