COVID-19外来患者へのロナプリーブ、第III相試験結果/NEJM

提供元:ケアネット

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公開日:2021/10/11

 

 重症化リスクを有する新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の外来患者の治療において、REGEN-COV(モノクローナル抗体カシリビマブとイムデビマブの混合静注薬、商品名:ロナプリーブ)はプラセボと比較して、COVID-19による入院/全死因死亡のリスクを低減するとともに、症状消退までの期間を短縮し、重症急性呼吸器症候群コロナウイルス2(SARS-CoV-2)のウイルス量を迅速に低下させることが、米国・Regeneron PharmaceuticalsのDavid M. Weinreich氏らの検討で示された。研究の成果は、NEJM誌オンライン版2021年9月29日号に掲載された。

外来患者4,000例の無作為化プラセボ対照第III相試験

 本研究は、COVID-19外来患者におけるREGEN-COVの有用性の評価を目的とする適応的デザインを用いた第I~III相の二重盲検無作為化プラセボ対照比較試験であり、今回は、第III相試験の初期結果が報告された(米国・Regeneron Pharmaceuticalsなどの助成を受けた)。

 対象は、年齢18歳以上、SARS-CoV-2陽性と診断され、COVID-19の重症化のリスク因子を1つ以上有する非入院患者であった。被験者は、いくつかの用量のREGEN-COVまたはプラセボを単回静脈内投与する群に無作為に割り付けられ、29日間のフォローアップが行われた。

 事前に規定された階層的解析法を用いて、エンドポイントであるCOVID-19による入院または全死因死亡、症状消退までの期間、安全性の評価が行われた。

 解析には、2020年9月24日~2021年1月17日の期間に米国とメキシコの施設で登録された4,057例(修正最大解析対象集団[mFAS])が含まれた。全体の年齢中央値は50歳(IQR:38~59)、14%が65歳以上で、49%が男性、35%がヒスパニック系であり、最も頻度の高い重症化のリスク因子は肥満(BMI≧30、58%)、年齢50歳以上(52%)、心血管疾患(36%)であった。

重篤な有害事象の発現はプラセボより少ない

 投与後29日の時点でのCOVID-19による入院または全死因死亡は、REGEN-COV 2,400mg(カシリビマブ1,200mg+イムデビマブ1,200mg)群では1,355例中18例(1.3%)で発生し、プラセボ群の1,341例中62例(4.6%)に比べ有意に低かった(相対リスク減少率[1から相対リスクを引いた値]:71.3%、p<0.001)。

 また、REGEN-COV 1,200mg(同600mg+600mg)群では736例中7例(1.0%)でCOVID-19による入院または全死因死亡が発生し、プラセボ群の748例中24例(3.2%)に比し有意に良好だった(相対リスク減少率:70.4%、p=0.002)。

 同様に、ベースラインの血清SARS-CoV-2抗体陽性例を含む全サブグループで、REGEN-COV群はプラセボ群に比べ、COVID-19による入院または全死因死亡の低下が認められた。

 一方、症状消退までの期間中央値は、REGEN-COV群の2つの用量(1,200mg、2,400mg)ともプラセボ群よりも短縮され、4日早く消退した(2つの用量群とも10日vs.プラセボ群14日、いずれもp<0.001)。

 また、ウイルス量は、2つの用量のREGEN-COV群とも、プラセボ群に比べ迅速に減少した。すなわち、ウイルス量のベースラインから7日までの最小二乗平均値のプラセボ群との差は、1,200mg群が-0.71 log10コピー/mL(95%信頼区間[CI]:-0.90~-0.53)、2,400mg群は-0.86 log10コピー/mL(-1.00~-0.72)であった。

 重篤な有害事象の頻度は、プラセボ群が4.0%と、REGEN-COV 1,200mg群の1.1%、2,400mg群の1.3%に比べて高かった(Grade2以上の注入に伴う反応の発生率は3群とも0.3%未満)。死亡の原因となった有害事象の頻度は、プラセボ群が0.3%であり、1,200mg群の0.1%、2,400mg群の<0.1%に比し高率だった。REGEN-COV群の2つ用量の安全性プロファイルはほぼ同様で、安全性のイベントに目立った不均衡はなかった。

 REGEN-COVの2,400mg投与は、2020年11月、軽症~中等症の高リスクCOVID-19外来患者の治療において、米国食品医薬品局の緊急使用許可(EUA)を取得しており、本試験で1,200mgでも2,400mgと同程度の入院/死亡リスクの低減とウイルス学的有効性が示されたことから、2021年6月、2,400mgに代わり1,200mgでEUAを受けた。また、REGEN-COVは、高リスクCOVID-19外来患者の治療法として、米国国立衛生研究所(NIH)の診療ガイドラインにも含まれている。

 著者は、「軽症例などではさまざまな程度で回復までの期間が長引くとのエビデンスが増えているため、今回のREGEN-COVはCOVID-19からの回復を早めるとの知見は、患者にとって新たな利点になると考えられる」としている。

(医学ライター 菅野 守)