重症急性呼吸器症候群コロナウイルス-2(SARS-CoV-2)感染が確認された家族と接触した感染歴のない家族に対して、カシリビマブとイムデビマブの抗体カクテル「REGEN-COV」皮下投与は、症候性の新型コロナウイルス感染症(COVID-19)および無症候性のSARS-CoV-2感染を予防することが示された。米国・Regeneron PharmaceuticalsのMeagan P. O'Brien氏らが、接触4日以内の家庭内濃厚接触者第III相のプラセボ対照無作為化二重盲検試験の結果を発表した。感染が認められた被験者家族における、症状解消までの期間および高ウイルス量期間を短縮したことも認められたという。REGEN-COVは、高リスクCOVID-19患者の入院または死亡のリスクを著しく低下することが示されていたが、家庭内濃厚接触者に対するSARS-CoV-2感染および感染後のCOVID-19発症を予防するかについては不明であった。NEJM誌オンライン版2021年8月4日号掲載の報告。
28日までの症候性COVID-19の発症をプラセボ投与と比較
研究グループは、SARS-CoV-2感染の診断を受けた家族と接触後96時間以内の12歳以上の家族を被験者として登録。1対1の割合で無作為に2群に分け、一方にはREGEN-COV(総投与量1,200mg)を、もう一方にはプラセボを、それぞれ単回皮下注で投与した。無作為化時に、被験者についてSARS-CoV-2診断検査の結果と年齢で層別化した。
有効性の主要エンドポイントは、SARS-CoV-2感染歴がない被験者(逆転写酵素定量的ポリメラーゼ連鎖反応検査で計測)または免疫がない被験者(血清陰性)における、28日までの症候性COVID-19の発症だった。
相対リスクは81.4%低下、症状解消までの期間は約2週間短縮
症候性COVID-19の発症は、REGEN-COV群11/753例(1.5%)、プラセボ群59/752例(7.8%)で認められた(REGEN-COV群の相対リスク低下[1-相対リスク]81.4%、p<0.001)。また、第2~4週においては、同発症はそれぞれ2/753例(0.3%)、27/752例(3.6%)だった(同相対リスク低下92.6%)。
REGEN-COV群では、症候性・無症候性SARS-CoV-2感染全体の予防効果が認められた(相対リスク低下66.4%)。
症候性COVID-19の発症者において、症状解消までの期間中央値は、プラセボ群3.2週間に対しREGEN-COV群は1.2週間と約2週間短く、高ウイルス量(>10
4コピー/mL)の期間も、それぞれ1.3週間、0.4週間とREGEN-COV群で短かった。なお、REGEN-COVの用量規定毒性は認められなかった。
(医療ジャーナリスト 當麻 あづさ)