新型コロナウイルス感染症(COVID-19)ワクチンの異種接種について、1回目接種がアデノウイルスベクターワクチンのChAdOx1 nCoV-19(ChAd、AstraZeneca製)またはmRNAワクチンのBNT162b2(BNT、Pfizer-BioNTech製)いずれの場合も、2回目接種がmRNAワクチンのmRNA-1273(m1273、Moderna製)の場合は、一過性の反応原性を増大することが示された。遺伝子組換えスパイク蛋白ナノ粒子ワクチンのNVX-CoV2373(NVX、Novavax製)は、BNTのプライム接種群で非劣性が示されなかった。英国・オックスフォード大学のArabella S. V. Stuart氏らによる無作為化試験の結果で、「複数のワクチンが、BNTまたはChAdでプライミング後の免疫完了に適していた。今回の結果は、異種ワクチンによる接種スケジュールを支持するもので、ワクチン接種の迅速なグローバル展開を促進することになるだろう」と述べている。Lancet誌2022年1月1日号掲載の報告。
ChAd、BNT、m1273、NVXによる混合プライミングスケジュールを検討
研究グループは、同一スケジュールで異なるCOVID-19ワクチンを柔軟に用いることが、迅速な展開を促進するために重要であるとの認識から、ChAd、BNT、m1273、NVXを組み込んだ混合プライミングスケジュールについて検討した単盲検無作為化非劣性試験「Com-COV2試験」を実施した。
試験は、ChAdまたはBNTの単回接種を地域で受けた50歳以上を対象とし、各接種群内で3群(試験全体では計6群)に1対1対1の割合で無作為に割り付け、同一ワクチン、m1273またはNVXの2回目接種(初回接種後8~12週に)を行った。
主要エンドポイントは、異種vs.同種スケジュールのELISA法で測定した血清SARS-CoV-2抗スパイクIgG濃度の幾何平均比(GMR)で、2回目接種後28日時点で評価。GMRの片側98.75%信頼区間[CI]値が0.63超を非劣性と定義した。
主要解析は、ベースラインで血清陰性であったper-protocol集団で実施。安全性解析は、試験ワクチンの接種を受けた全被験者を対象に行われた。
GMRは、ChAd/m1273群10.2、BNT/m1273群1.3
2021年4月19日~5月14日に、イングランドの9地点で、ChAd(540例、女性47%)またはBNT(532例、女性40%)の単回接種を受けた計1,072例が無作為化を受けた。ChAd群の異種ワクチンによる2回目接種までの期間中央値は9.4週間(範囲:4.7~12.0)、BNT群は同9.6週間(8.0~12.0)であった。
ChAd群では、2回目接種から28日後の幾何平均抗体濃度(GMC)は、ChAd/m1273群2万114 ELISA laboratory units[ELU]/ mL(95%CI:1万8,160~2万2,279)、ChAd/NVX群は5,597 ELU/mL(4,756~6,586)で、いずれもChAd/ChAd群(1,971 ELU/mL[1,718~2,262]に対して非劣性が認められた。ChAd/ChAd群と比較したGMRは、ChAd/m1273群10.2(片側98.75%CI:8.4~∞)、ChAd/NVX群2.8(2.2~∞)であった。
BNT群では、BNT/BNT群(GMC:1万6,929 ELU/mL[95%CI:1万5,025~1万9,075])に対する非劣性は、BNT/m1273群(2万2,978 ELU/mL[2万597~2万5,636])では示されたが、BNT/NVX群(8,874 ELU/mL[7,391~1万654])では示されなかった。BNT/BNT群と比較したGMRは、BNT/m1273群は1.3(片側98.75%CI:1.1~∞)、BNT/NVX群は0.5(0.4~∞)であった。ただし、NVX群もワクチン接種後28日のGMCは18倍の上昇が認められた。
重篤な有害事象は15件報告されたが、いずれも免疫獲得とは関連していないとみなされた。
(ケアネット)