膝関節全置換術の術後鎮痛にデキサメタゾンは有効か?/BMJ

提供元:ケアネット

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公開日:2022/01/13

 

 人工膝関節全置換術後48時間以内に行う、多角的疼痛治療へのデキサメタゾン2回追加投与は、モルヒネ使用量をプラセボ群に比べ約11mg減少することが示された。デンマーク・Naestved, Slagelse and Ringsted HospitalsのKasper Smidt Gasbjerg氏らが、485例を対象に行った無作為化試験の結果を、BMJ誌2022年1月4日号で発表した。人工膝関節全置換術後は概して、手術に関連した中等度から重度の術後疼痛が報告される。デキサメタゾンは、術後の多角的疼痛治療の一剤としてしばしば用いられるが、アジュバントとしての鎮痛効果、とくに高用量の反復投与に効果があるのかエビデンスは乏しい状況であった。

DX 1回vs.2回vs.プラセボでモルヒネ投与量の違いを比較

 研究グループは2018年9月~2020年3月にかけて、デンマークの5病院を通じて、人工膝関節全置換術を受ける成人485例を対象にプラセボ対照の無作為化盲検試験を行った。90日間追跡し、デキサメタゾンの術後1回および2回投与の効果を検証した。

 被験者は、試験病院で層別化され、コンピュータ生成法を用いて無作為に3群に割り付けられ、デキサメタゾン(24mg)+プラセボ(DX1群、161例)、デキサメタゾン(24mg)+デキサメタゾン(24mg)(DX2群、162例)、プラセボ+プラセボ(プラセボ群、162例)のいずれかの投与(周術期に1回、その後24時間後に1回)を受けた(被験者、研究者およびアウトカム評価者とも盲検化)。また全被験者に、アセトアミノフェン、イブプロフェン、局所浸潤鎮痛法(LIA)を行った。

 主要アウトカムは、術後0~48時間の総モルヒネ静脈投与量だった。多重度補正後の有意性に関する閾値はp<0.017とし、モルヒネ量10mgを重要な差の最低値とした。副次アウトカムは、術後疼痛などだった。

DX 2回群のモルヒネ投与量、対プラセボで10.7mg減少

 被験者の97.3%(472例)を対象に、主要解析を行った。術後0~48時間のモルヒネ使用量中央値は、DX1群が37.9mg(四分位範囲:20.7~56.7)、DX2群が35.0mg(20.6~52.0)、プラセボ群が43.0mg(28.7~64.0)だった。

 ホッジス・レーマン推定法による群間差中央値は、DX1群とDX2群(-2.7mg、98.3%信頼区間[CI]:-9.3~3.7、p=0.30)では有意差はみられなかった。DX1群とプラセボ群間(7.8mg、0.7~14.7、p=0.008)、DX2群とプラセボ群間(10.7mg、4.0~17.3、p<0.001)では有意差がみられ、うちDX2群とプラセボ群間で重要な差の最低値を上回っていた。

 術後疼痛レベルの低下は、DX1群で24時間時点にDX2群と有意差なく認められたが(疼痛レベルスケール:DX1群20mm[四分位範囲:8~31]、DX2群20mm[10~35])、48時間時点ではDX2群がDX1群よりも有意に低く、重要な差の最低値を示した(DX1群30mm[四分位範囲:10~40]、DX2群15mm[9~30]、群間差中央値:-10mm[95%CI:-12~-5]、p<0.001)。

(医療ジャーナリスト 當麻 あづさ)

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